(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)は30日、同団体が管理する音楽著作物の利用料を受け取るために、「YouTube」を運営する米グーグル社、および「ニコニコ動画」の(株)ニワンゴと協議を開始したことを明らかにした(関連記事)。
今回の協議が始まるまでにどういう経緯があったのか。また、動画の投稿者は利用料を徴収されるようになるのか。JASRAC送信部ネットワーク課と、ニワンゴの親会社であるドワンゴの経営企画部に話を聞いた。
JASRAC「暫定的な利用料率で、年内には合意したい」
── 協議開始までに、どういった経緯があったか。
JASRAC 以前から、YouTubeやニコニコ動画上で、JASRACが管理している楽曲が無断で使われているという実態があった。JASRACとしても「権利侵害を防止するための対策をしっかりしてくれ」と呼びかけてきた。
具体的なプランはまだ確定していないが、今後は、JASRACが示している「動画投稿(共有)サービスにおける利用許諾条件について」という規定をベースに、利用料率などを協議していく。目標としては、暫定的な利用料率で年内には合意したい。
── 利用料率はどうなるか。ユーザーに金銭的な負担がかかる可能性は?
JASRAC 利用料は動画共有サービスの管理会社が負担する。ユーザーから直接徴収することはしない。
利用料率については「広告料収入や情報料収入の何%」というかたちで決めている。今回の場合は、「使用料規程第11節インタラクティブ配信1(3)音楽以外の著作物を利用することを目的とした配信 2.ストリーム形式」を適用する。この規定上では料率が2%とされているが、これに動画の再生回数などを考慮して、最終的な料率を決める予定だ。
── 利用料率が規定より高くなるのはなぜか。
JASRAC 本来、JASRAC管理楽曲を使って動画などを投稿する場合、投稿者個人が権利者の許諾を受けた上でやるのが筋だが、現状はそうなっていない。この状況も考えて、利用料率を上乗せすることになる。
── 利用料を徴収することによって、動画共有サービスのどんな行為が合法化する可能性があるか。
JASRAC JASRAC管理曲について、歌ったり演奏したりした動画については合法になるだろう。ただし、テレビ番組などJASRACの管理外のものを投稿したいケースでは、別途、著作権者に許諾が必要になる。
(次ページに続く)