このページの本文へ

【短期集中連載】新聞はネットに飲み込まれるか? 第2回

「新聞の自殺」とまで言われたタブーに挑む産経グループ(後編)

2007年10月23日 18時05分更新

文● 松岡美樹

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

炎上はしていません


 一方、MSN産経ニュースに先行して始めたイザ!では、80人以上の記者がブログを書いている。これも新しい試みだ。

 「記者ブログは趣味ではなく(笑)、業務として書いてもらっています。これにも社内では大議論がありました。たとえば新聞記事の場合、記者が書いた原稿をデスクが読み、整理部でさらに校閲が入る。何重ものチェック体制を敷いています。

 ところがブログの記事は、書いた本人以外はだれもチェックせずに世の中の目に触れる。するとたちまち『炎上したらどうするんだ?』みたいな議論になるわけです。

 ところがもともと新聞記者は情報の扱い方を知っています。ウラを取る作業を積み重ね、信頼できる記事を書けるように育てられている。その記者がブログを書くわけですから、炎上どころか一定の信頼性が担保された重要なコンテンツになるはずだとわれわれは考えました。

 実際、記者ブログは1年半続けていますが炎上していません。まあ個別にもめている事例はありますが(笑)、誹謗中傷の嵐が起こることはなかったです。

 新聞記者というのは守られた存在です。仮に外部から批判がきても、それを受け付ける窓口がある。書いた本人が直接批判されることはない。ところがブログにはバッシングが直接きます。つまり大量の記者に記者ブログを書かせるということは、新聞記者を従来の過保護な状態から、プロテクターも何もつけさせずにインターネットの荒海に放り込んだということです。

 すると新聞記者は基本的には『言いたがり、書きたがり』だから、怖がるどころか面白いことを始める人間が出てきた。化学反応を起こしたわけですね。

 記者ブログでは、それぞれの記者が取材の過程で知り得た情報を自由に書いています。書く内容は、もちろん社論と食い違っていても問題ありません。たとえば首相だった小泉さんが最後に外遊に行き、帰国後に同行記者を集めて懇談会をやりました。この手の懇談会の内容はいままで外に出たことがなかったんですが、立ち会ったうちの政治部の記者はブログで一言一句書いています」

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン