六本木、渋谷、秋葉原の各地区において20日、「第20回東京国際映画祭」(20th TOKYO INTERNATIONAL FILM FESTIVAL、略称「TIFF」)が開幕した。20日の夕方には初日恒例となった“レッドカーペット”が、六本木けやき坂通りを真っ赤に染め、そこに日本を代表する俳優、監督、映画関係者に加えて、世界各国から来日した映画人がさらに華やかな彩りを添えた。主催はユニジャパン((財)日本映像国際振興協会/第20回東京国際映画祭実行委員会)。共催は経済産業省(マーケット部門)/東京都(コンペティション部門)/(社)映画産業団体連合会(ニッポンシネマクラシック部門)。
20回の節目を迎えた東京国際映画祭は、経済産業省の肝いりで展開されている「コ・フェスタ(JAPAN国際コンテンツフェスティバル/CoFesta)」のラストを飾る、重要なイベントとして位置付けられての開催となった。2006年に続いて、今回も六本木ヒルズを中心とした六本木地区、東急文化村を中心とした渋谷地区の2会場制だ。そして、同時開催の「animecsTIFF in Akihabara秋葉原エンタ祭り」が、秋葉原地区で併催されている。
お掃除ロボ「ルンバ」も
レッドカーペットをウォーキング!?
上映総本数が300本を超えるアジア最大級の映画の祭典として、国内外から注目されている本映画祭。ここでは、世界67の国と地域で制作された668作品の中から選ばれた秀作15作品から「東京サクラグランプリ」を選ぶ「コンペティション」をメインに、公開前の最新の話題作を20本上映する「特別招待作品」、中国、韓国、台湾をはじめ、中東や中央アジアからの作品も見逃せない「アジアの風」(全31本)、第20回特別企画の「映画が見た東京」(全51本)、日本映画の現在と未来を伝える「日本映画・ある視点」(全9本)、新たに設けられた欧州や南北アメリカの作品を中心とした「ワールドシネマ」(全8本)などが行われる。
このほか、海外から熱い注目を集めるジャパンコンテンツの騎手である日本のアニメーション作品を紹介する「animecs TIFF 2007/世界が注目するアニメーションの作り手たち」や、27日には今回で4回目を迎える、ウェブを作品発表の場とする映画祭「東京ネットムービーフェスティバル2007」の受賞式と上映会が行なわれる。
会期中、六本木ヒルズでは、コミュニケーションスペース“ヒルズカフェ”が映画ファンの交流の場として「TIFF movie cafe」に模様替え。六本木ヒルズアリーナでは、トークイベントや舞台挨拶が行なわれる「五感で楽しむ映画まつり」が開催されるなど、六本木ヒルズは映画一色に染まる。
竹内結子さんや大沢たかおさんら
「ミッドナイトイーグル」の出演陣が登場
開幕初日となった20日、六本木会場の六本木ヒルズでは恒例となった「レッドカーペット」に豪華なゲストが登場し、映画祭の開幕を飾った。200mの真っ赤なレッドカーペットが敷かれた夕暮れ時のけやき坂通りには、俳優や監督をはじめとする映画人やゲストの姿を一目見よう詰めかけた一般観覧者7,700人で沿道が埋め尽くされた。報道陣も映像関連が44クルー、スチルは130を超えるカメラの放列が、オープニング女優としてTIFFと同じく20歳になった長澤まさみさんの登場を固唾をのんで見守った。けやき坂の上手からバレエのコスチュームに身を包んだダンサー達が現れ、大胆に肩を出したベアトップのドレスに見を包んだ長澤さんが登場すると、会場からため息と歓声が上がった。長澤さんの登場に続き、実に56組317名の日本を代表する俳優、監督に加え、世界中から集まった映画人、ゲストがレッドカーペットをさらに華やかに彩った。
トリを務めたのは、オープニング作品に選ばれた特別招待作品「ミッドナイトイーグル」の出演した、竹内結子さん、大沢たかお氏、玉木 宏氏、藤 竜也氏、および成島 出監督で、彼らが登場すると会場の熱気は最高潮に達した。中でも竹内さんは積極的に沿道のファンと交流し、時にはサインの要求に応える場面も見られ、沿道とレッドカーペットの距離を縮める姿に、会場は一気に和やかな雰囲気に包まれた。
レッドカーペットの終了後には、映画祭関係者を集め、グランドハイアット東京のボールルームにおいてオープニングセレモニーが行なわれた。ここで長澤さんが開会宣言として、「第20回東京国際映画祭おめでとうございます。二十歳(はたち)を迎え、共通の喜びを感じています。お互いに、夢を築いていきたいと思います」と語った。続いて第20回東京国際映画祭チェアマンを務める角川歴彦氏は「東京国際映画祭は秋の年中行事として大きく成長しました。今年もレッドカーペットをたくさんの映画人と華やかなゲストたちが歩いてくれました。ENJOY TIFF!」と、開会の挨拶をした。また、TIFFが公式参加しているコ・フェスタの顔としてもおなじみになった、経済産業大臣の甘利 明氏が登壇し、「映画祭を通じてさまざまなコンテンツが世界に理解され、拡がることを望んでいます」と語った。
セレモニーの締めくくりには、「ミッドナイトイーグル※」の出演者たちが再び姿を現した。同作の主演を務めた大沢たかお氏は「この作品がオープニングに選ばれてから、今日までドキドキしていました」と率直な気持ちを語った。竹内さんは「オープニング作品に選ばれたことを光栄に思います。この作品には、何気ない日常の中にある恐怖と人間ドラマを描かれています。楽しんでくれたら、うれしいです」と挨拶した。玉木氏は「初参加の作品がオープニングに選ばれたことをとてもうれしく感じています」と、映画祭初参加でオープニング上映という、役者冥利に尽きる状況に喜びを隠しきれない様子だった。最後にベテラン俳優である藤氏は「この映画が世界の多くの人に受け入れられることを願います。L.A.でのワールドプレミア上映では、スタンディングオーベーションで迎えてくださいました。きっとこの映画は日本だけでなく、世界へ羽ばたいていくと思います」と述べ、この作品の意義や、それにかける熱い思いを語った。
※ミッドナイトイーグルについて
「ミッドナイトイーグル」は、北アルプス山中で姿を消したステルス型戦略爆撃機<ミッドナイトイーグル>が搭載していた、日本全土を巻き込む威力を秘めた<特殊爆弾>を巡って、愛と感動のドラマが繰り広げられる、日本映画史上最大のスケールで描かれる山岳サスペンスアクション。