今回は、現在でも運用が継続される旧泰緬鉄道区間で最大級の絶景「タム・グラセー橋」(日本名ではアルヒル桟道橋)を撮影地に選んだ。小クウェー川(クワイ川=大クウェー川とは異なる)沿いにそそり立つ石灰質の絶壁を削り取って通された鉄路を小クウェー川の対岸から撮影しようと思う。
実は小クウェー川のタム・グラセー橋まで行くことは難しくない。旅客列車に乗車して、橋の前後のどちらかの停留所で下車すればいいからだ。しかし、対岸はその限りではない。この付近は地元交通が発達していないので、片道1時間以上の徒歩を覚悟する必要がある。
撮影地への移動手段はオートバイ
そこでボクは、カンチャナブリー市内でオートバイをレンタルして撮影地へ向かうことにした。バイク屋に並ぶマシ~ン(笑)は、基本的に排気量100~125ccのスクーター形式のものが多い。料金は1日150~200バーツ(550~740円)で、1リットルあたり約110円のガソリン代は運転者が支払う。カンチャナブリーからタム・グラセー橋までは片道約60kmなので、ガソリンを満タンにしておけば無給油でギリギリ一往復はできそうだ。
タイ国道幹線では時速120kmの高速バトル(巡航ではない)を楽しむ乗用車が多いので、路肩をゆっくり走行することになる。幹線を外れると交通がかなり減少するので走りやすいが、路面が悪くなるので最大時速は50kmに抑えたい。
カンチャナブリーから離れると、レストランもガスステーションも近代的な物はほとんど見かけなくなる。だから、食事も給油もすべて通り沿いの地元の人々を対象とした雑貨屋などで行なうことになる。特に給油は手回しポンプでグルグルするか、びん詰めされたものを購入することになるので、最初は戸惑うかも知れない。
タイにおけるオートバイの運転は、日本の小型免許以上の保持者が望ましい。それとせめてプラグ清掃ができる程度の整備知識があったほうがいい。決して忘れられないのが雨具と長袖の服。できれば防風用のゴーグルもほしい。強力な紫外線による日焼けは夜になるとすごく痛いし、風は予想以上に体力を消費する。また、飛来する昆虫が顔にヒットすると筆舌に尽くしがたいほどに痛いので、目だけはサングラスでもいいから守っておきたい。
なお、ボクのような貧乏旅行者には無理だが、カンチャナブリーでは運転手付き乗用車のレンタルもできる。さらに、タム・グラセー橋最寄り駅ワンポーでなら、おそらく乗り合いタクシーなどをチャーターできるのではないかと思う。
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