バーチャル受付嬢Mikiや、3Dテレビで「リッジレーサー7」
【レポート】最先端CG作品や制作技術が堪能できた4日間――ASIAGRAPH2007
2007年10月18日 00時00分更新
アジア地域で活躍するCG分野の研究者とクリエイターが集う国際的CGイベント「ASIAGRAPH2007 in Tokyo」が、11日~14日の4日間に渡って秋葉原UDXで開催された。主催はアジアグラフ2007実行委員会および経済産業省、(財)デジタルコンテンツ協会。共催は「バーチャルリアリティ学会」。CGアートと先端技術を、講演やセミナー、エキシビジョンやギャラリーなどで多面的に紹介するという構成で、本家である「SIGGRAPH」さながらに、アジア各国からゲストや来場者を集めた国際的なイベントとなった。
立体テレビで楽しむ立体映像版「リッジレーサー7」に長蛇の列
エキシビジョン会場となったアキバスクエアは、優れた技術と創造性を持ったCG業界を取り巻く企業や団体が出展する「クリエイティブファクトリー」と、CGやVR(バーチャルリアリティ)業界を支え、その発展において欠かせないさまざまな先端技術や学術での研究成果ならびにそれらに関わる最新ソフトウェアを紹介する「先端技術展」の2つで構成されていた。
クリエイティブファクトリーには、(株)バンダイナムコゲームスが「リッジレーサー7」を使った3Dコンテンツ実行プログラムの体験ブースを出展していた。このプログラムは、同社が(株)有沢製作所と(株)NHKテクニカルサービスの協力を得て開発した「Xpol方式ハイビジョン液晶立体(3D)テレビ」対応のプレイステーション 3で実行する立体映像実行プログラムだ。
Xpol方式ハイビジョン液晶立体(3D)テレビとは、通常のテレビとしても利用できるが、3Dコンテンツを撮影した専用のハイビジョン映像を入力すると、走査線1本置きに逆の偏光特性を持った偏光フィルターを通じて、左右の視野に合わせた映像が表示される。これを付属の偏光メガネで視聴すれば、立体的な映像に見えるという仕組みだ。
これまでゲーム業界/AV業界では、こうした2D/3D一体型の高画質・高機能な視聴用ハードウェアが存在しなかったため、3Dコンテンツに対してはやや消極的であったが、特別な仕様変更や追加装備の必要がなく、ユーザーはプレイステーション 3に対応Blu-rayディスクを入れるだけで立体映像や3Dゲームが楽しめるという具体的なソリューションが登場してきたことに、大いに関心が集まっているようだ。
「ALWAYS 三丁目の夕日」の大ヒットでいまや押しも押されもしない映画制作スタジオとなった(株)白組も出展していた。
以前からミニチュアやクレイアニメ、特殊撮影など、いわゆるVFXの分野では重要な存在だった同社だが、山崎 貴監督による「Juvenile」(ジュブナイル)、「Returner」(リターナー)を経て、「ALWAYS 三丁目の夕日」の大ヒットによって、同社が日本映画には欠くべからざる存在となったのは、それだけ現在の映画制作においてVFXが重要な位置を占めていることの証明とも言えるだろう。その同社のブースでは、この11月3日に公開される「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で使用された“三丁目”のミニチュアセットを公開していた。
また、フジテレビ“ノイタミナ”(noitaminA)枠で10月から放送を開始しているアニメ「もやしもん」に関する展示も行っていた。もやしもんは、菌が肉眼で見える主人公・沢木惣右衛門直保を中心とする、農大を舞台にした異色の学園マンガで、白組ではオープニングを山崎監督が演出、エンディングではクレイアニメを使って制作している。劇中に登場する数々の「菌」キャラクターは、CGを使って演出されており、ブースではこのCGのメインキングやクレイなどを展示していた。