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総合危機マネジメント協会が設立――リスク管理の専門化育成を目的に

2007年10月16日 21時08分更新

文● アスキービジネス編集部

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9月18日、NPO法人 総合危機マネジメント協会はその設立を発表した。それに伴う記者会見では、国家や自治体、企業、個人にいたるまでの生命財産を守るための危機管理を行うための専門家を育成するビジョンを明らかにされた。


リスク管理のプロフェッショナルを育成


 総合危機マネジメント協会は、企業におけるクライシス/リスク管理を行なうことのできる人材育成や情報化社会の発展、経済活動の活性化などを目的に9ガツ18日に設立された。

 会見において、同協会の会長・理事を務める佐々淳行氏は「9・11テロ以降、危機管理の重要性が叫ばれてきたが、国も企業もまだまだ意識が足りない。国家や自治体だけでなく、企業や市民の生命財産を危機から守るための専門家が必要」と同協会設立の趣旨を説明する。

総合危機マネジメント協会 会長・理事 佐々淳行氏

総合危機マネジメント協会 会長・理事 佐々淳行氏

 また、企業の危機管理に関する姿勢に対しても、問題点を次のように指摘する。「コンプライアンスを“法令順守”捕らえるのは間違い。企業に寄せられる批判や攻撃、損害賠償などから組織を守る上で、妥当か妥当ではないかが最も重要。違法なのか順法なのかは関係ない」(佐々氏)と語り、企業に対してコンプライアンスの本質を理解することの重要性を訴えた。また、「危機管理に関する資格発行をしている団体は250以上あるが、どれも私的なもの。弁護士や税理士などと同様の国家資格として、“危機管理士”の資格創設を国に働きかけていく」として、リスク管理のプロフェッショナルを育成していくことを、同協会の目的の1つに掲げた。

 また会見では同協会が7~8月にかけて同調査では、上場企業を中心とした全国の162社を対象に行なった、企業の「危機管理・緊急事態体制」に関するアンケートの結果を公表した。

 危機管理対策に関して、リスクマネジメント方針を持っている企業は8割に上るものの、「事業や部門単位での事故発生を想定した被害額の算出」や「業務継続計画(BCP)を用意」している企業は20~25%と対策の具体化ができていない実態を指摘。さらに、事業継続に関する対策に関しても、「仕入れルートの複数確保」が34.6%に、「本社機能の1週間以内の移設準備」に関しては9.3%と十分な対策が進んでいないことを明らかにした。

 また、日本版SOX法に関しても調査を行なっており、「対応のためのプロジェクトチームを設置」が85.8%を超えながらも、「業務の文書化」や「文書化に基づいた整備状況評価」「監査法人との協議による運用状況評価」などまで取り組んでいる企業がいずれも2割を下回り、十分に対策が進んでいない実態を指摘した。

企業におけるクライシス/リスクに関する各種方針

企業におけるクライシス/リスクに関する各種方針

日本版SOX方への各企業の取り組み

日本版SOX方への各企業の取り組み

 さらに、危機管理に関する専門資格の必要性について、「不必要」が25.9%、「わからない」が47.5%なのに対し、「必要」としている企業は13.6%に留まった。この調査に対し、同協会の理事長でフォーバル代表取締役会長兼社長の大久保秀夫氏は、「企業は危機管理体制を構築しても、具体的に何をどう実行すべきかわからない状態。危機管理のプロフェッショナルの育成が必要」とまとめた。

総合危機マネジメント協会 理事長 大久保秀夫氏

総合危機マネジメント協会 理事長 大久保秀夫氏

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