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独立すれば、キラリと光る SEのための起業塾 第12回

第12回 リスクマネジメント Part2 「損する企業」のビジネススタイル

2007年10月23日 11時10分更新

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危機回避方法とは?

 それでは、企業活動のリスクを減らすにはどうしたらよいでしょうか。

1つ目は「仮定」を設定する習慣を持つべきです。

たとえば、ある仕事に対して

1.条件が変わったらどうなるか
2.制約条件はどこにあるのか
3.影響する要因はなにか
4.変化はどういうきっかけで起こるのか
5.そのためにはどういう行動で備えればよいのか

と、実際に危機が降りかかる前にシミュレーションをして、次の準備を進めるのです。

 たとえば、この仮定の1つとして「こういう危機が起こるとしたら、その前にこんな現象があるだろう」という、先行きを見渡す力を養うことも大切でしょう。過去に起こったことを参考にして、危機が降りかかってくる前には必ずこのような現象があったということを分析していけば、今はこの段階にあるのではないかということが予測できます。

 当社を例にすると、ある企業のWebコンテンツの制作を請け負い、約10年が経過しました。ところがこの3年ほどで、先方の担当者が次から次へと退職していきました。早い人は約3ヶ月、長くても半年ほどで。また、唯一すべての仕事を把握していたプロデューサーも、2年ほど前に親会社に戻されました。以前もこの会社はある部門の事業規模を縮小するときに、次々と担当者が辞めていったので、これは危険だと察知しました。

 そこで新規顧客を獲得を目指し、他企業への営業を開始したのです。そして案の定、数ヶ月前M&Aによってその会社の経営陣はすべて刷新、コンテンツ制作の担当者も一掃されました。

 約1年かけた営業の甲斐があって、その会社の売り上げに匹敵する受注量は確保できましたが、危機に対する以前の経験からの分析がなければ、当社は大変な状況に陥っていたことは明らかです。

 さらに2つ目は、起業家である自分も含め社員一人ひとりが会社の構成員として、物事を「自分の問題」だと考え、全体像で置かれている状況を捉えられるようになることが大切です。たとえば人に言われ、決められたことをそのまま行なうのではなく、自分で考え言動に表す「能動型人間」。そうなれるように、自らはもちろん社員教育の徹底も必要なのです。会社内でも「他部署のこと」「他支店のこと」と、当事者意識のない考え方を捨てるようにしていきましょう。

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