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Windows Vista SP1レポート

SP1登場でWindows Vistaはどう変わるのか?【正式版対応】

2008年03月08日 23時00分更新

文● 山本雅史

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 これら以外にも、SP1ではいくつかの機能が追加されたり、修正されている。セキュリティー面では以下の4項目などが当たる。

  • 他社のセキュリティーソフトがVistaの「セキュリティセンター」に項目を追加できるようになった
  • Vistaの64bit版で問題視されている「Kernel Patch Protection」機能(悪意あるプログラムがOSカーネルに変更を加えることを防止する機能)を、セキュリティーソフトメーカーが利用できるようにするAPIの追加
  • リモートデスクトップ接続を実現する「ターミナルサービス RemoteAPP」と「Remote Desktop Protocol」(RDP)の修正
  • 新しい楕円曲線暗号(ECC)の疑似乱数生成器(PRNG)の追加

 新しいハードウェアのサポートも追加されている。

  • Secure Digital Advanced Direct Memory Access」(SD DMA)のサポートにより、データ転送パフォーマンスのアップとCPU使用率を低減させる(対応ハードが必要)
  • Vistaのx64版では、BIOSではなくEFI(Extensible Firmware Interface)でのブートに対応した。また、EFIシステムでネットワークブートにも対応し、Vistaのネットワークインストールができるようにした
  • 新しい「DirectX 10.1」のサポート

 信頼性と性能の向上には、以下の項目が含まれる。

  • 新しいグラフィックカードにおける信頼性と互換性の向上
  • ノートパソコンで外部ディスプレーを使用する際の信頼性向上
  • スリープモードにおける信頼性とパフォーマンス向上
  • ファイルのコピー、移動時のパフォーマンス向上
  • Internet Explorer 7のCPU使用率の低減、JavaScriptパーサーの改良による高速化
  • スクリーン再描画の回数を減らすことで、ノートパソコンにおけるバッテリの消費を小さくする
  • 新しいVista信頼性パック(KB941649)
  • Windows Media Player 11の累積的な更新(KB941651)
  • Media Centerの累積的な更新(KB941229)

Windows XP SP2とVista SP1の意味合いは異なる


 Vista SP1は、Vistaがインストール済みのパソコンをアップデートするスタンドアロン版と、VistaのインストールDVDの内容をVista SP1にアップデートしたDVDイメージの(『Windows Vista with Service Pack 1』と呼ばれている)2種類が提供されている。もちろん32bit版(x86)だけでなく、64bit版(x64)もある。

 マイクロソフトではSPの位置づけを、“バグ修正を中心とした機能修正版”と位置付けている。しかし、前Windows XP時代の「Windows XP Service Pack 2」(XP SP2)では、単なるバグ修正だけでなくセキュリティー面での大幅な機能追加があった。見た目でも変更点が多かったし、使い勝手上も大きな違いがあった。

 Vista SP1はXP SP2とは異なり、いくつかの機能追加はあるものの、バグ修正やシステムの信頼性/性能向上がメインになっている。また、Vista SP1で提供されている多くのモジュールは、Windows Updateやダウンロードセンターで配布されているものと多くが重複する。例えば、8月にダウンロードセンターから提供されたQFEモジュール(パフォーマンスと安定性アップ、互換性と安定性アップの2つのモジュール)は、すでにWindows Updateでも提供されている。Windows Updateのようなタイムリーなアップデートシステムが存在する現時点では、SPの形で修正パッチをまとめて届ける必然性はないとも言える。

Windows Updateでは随時パッチなどがリリースされている。Vista SP1がリリースされる頃には、大半の修正はWindows Updateですでに提供されていることになるかもしれない

Windows Updateでは随時パッチなどがリリースされている。Vista SP1がリリースされる頃には、大半の修正はWindows Updateですでに提供されていることになるかもしれない

 マイクロソフトのOSやアプリケーションに対しては、「最初のバージョンには手を出すな。SP1がリリースされてからインストールすべし」という都市伝説的な意見もある。この話はある面ではもっともだが、Vistaでは今までの都市伝説は当てはまらないようだ。

 Vista SP1を試してみて、最も大きく変わったことを実感するのは、ファイルのコピーや移動などのパフォーマンスだろう。2007年に提供された“QEF(Quick Fix Engineering)モジュール”(パフォーマンスと安定性アップ、互換性と安定性アップの更新プログラム2種類)によって、HDDドライブ同士でのファイルコピーや移動などの性能は改善されていた。しかしネットワーク経由のコピーや移動は、全く改善が見られなかったものだ。それがVista SP1では改善されている。

 SP1は、Vistaにとってひとつのマイルストーンということはできるが、SPがリリースされなければVistaは使えないと思うのは間違いだろう。WindowsUpdateにより、Vista自体は日々進化している。マイクロソフトもSP1に関して同様の説明をしている。場合によっては、SP1がリリースされる頃にはほとんどの修正パッチや機能追加モジュールがWindows Updateで提供されていて、SP1をインストールしても大半の修正はすでに適用済み、ということになるかもしれない。

 しかし、“Windows UpdateがあるからVista SP1をインストールしなくていい”わけではない。修正パッチの適用という面での、Service Packの必要性は薄れてきているが、マイクロソフトやパソコンメーカーのサポートなどを考えると、やはりきちんとインストールすべきであろう。

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