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時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!”第6回

もはや音楽は消費材か──「着うた」世代の今

2007年10月11日 12時17分更新

文● 編集部、語り●津田大介(ITジャーナリスト)

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「着うたフル」だけ見れば、もっと売れている曲も……


── 他の曲と比べて、飛び抜けてダウンロードされたわけではないん ですか?

津田 ええ。日本レコード協会がウェブで公開している資料(関連リンク)で「着うたフル」の統計を調べてみると、「Flavor Of Life」のオリジナルバージョンが2007年6月に75万ダウンロード以上(トリプル・プラチナ)、バラードバージョンが2007年4月に50万ダウンロード以上(ダブル・プラチナ)を達成していることが分かります。

 同じ着うたフルで他のアーティストを見てみると、GReeeeNの「愛唄」が7月に100万ダウンロード、SEAMOの「マタアイマショウ」が5月に75万、コブクロの「桜」が3月に75万、絢香の「三日月」が2月に75万といったように、「Flavor Of Life」と同じ規模かそれ以上ダウンロードされていることが分かります。

 確かに「Flavor Of Life」は売れていますが、単曲単位として見れば、ほかのヒット曲と比べてそこまで飛び抜けているわけではない。


── 実はパソコン向けの音楽配信でダウンロード数を稼いでいたという可能性はないでしょうか?

津田 日本レコード協会の資料によれば、日本の音楽配信サービスのダウンロード数は、携帯電話向けとパソコン向け音楽配信の割合は9対1くらいで、携帯のほうが圧倒的に多いんですよね。

 日本レコード協会が調べた最新の有料音楽配信認定チャートでは、「Flavor Of Life」のPCダウンロードが25万ダウンロードを超えたそうですが、パソコン向け音楽配信はまだそういうレベルなんです。


── なぜEMIミュージック・ジャパンは、こうした発表を行なったんでしょうか?

津田 いちばんの理由は、「CDが売れてなくて、音楽業界の調子が悪い」というイメージを変えるための話題作りではないでしょうか。

 あとは「宇多田ヒカルの曲がデジタルでも売れているんだ」という話題を作って、公開中の映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の主題歌「Beautiful World」のパブリシティーにしたいという目論見もあると思います。


── 音楽配信はあまり売れてないんですかね?

津田 そういうわけではありません。レコード協会が公表している今年上半期の有料音楽配信売上実績を見ると、全体で前年同期比142%になってます。

 ただ、中身を細かく見ていくと「着うた」(Ringtunes)は前年同期比107%と既に飽和状態に入りつつあります。また、「待ちうた」(Ringback tunes)が前年同期比215%、「着うたフル」(シングルトラック)が前年同期比203%と、こちらは順調に伸びていますね。逆にパソコン向けのほうは完全に飽和状態で、シングルトラックは前年同期比103%とほぼ横ばいです。

 じゃあCDはどうなのか? 今年1から8月の生産統計を見ると、前年同期比94%と、今年も下げ止まりの傾向は止まらないようで、このまま行けば年末には9年連続売上減ということになるでしょう。

 レコード会社としては、CDが売れなくなっている状況で、とにかくまだまだ好調な着うたフルを伸ばしていく必要があるため、それを大きくアピールするために「1000万」というインパクトのある数字を出しているのだと思います。


(次ページに続く)

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