富士フイルム(株)は10日、コンパクトサイズのフォトプリンター「FinePix Printer QS-70」「同 QS-7」を発表した。高速赤外線通信規格「IrSimple」に対応し、対応デジタルカメラや携帯電話機から、ワイヤレスでの高速データ転送が可能である。価格はオープンプライス。発売日は20日。
QS-70/QS-7は昇華型熱転写方式でのカラー印刷が可能なカラープリンターである。L版用紙(89×156mm)またはポストカード(100×180mm)に印刷を行なえる。パソコンでの写真印刷に習熟していないユーザー層を対象としており、特に“キレイ”な印刷と“簡単”な操作を重視した特徴を備えている。
そのひとつが、IrSimple対応によるワイヤレスでの高速データ転送である。対応する機能を搭載したデジタルカメラ※1や携帯電話機の受光部を、本体中央部の大きな受光部に向けて転送することで、撮影画像をワイヤレスで高速に転送できる。同日、同社にて行なわれた新製品発表会で公開されたデータによると、以前からある赤外線通信規格「IrDA」の50倍、USB接続の「PictBridge」と比較しても9倍もの短時間で転送が可能という。
※1 同社の「FinePix Z100fd」や「FinePix F50fd」など(関連記事)。
赤外線通信はIrDAにも対応するほか、PictBridge用のUSBポートも備え、さらにパソコンとUSB経由で接続して、パソコンから写真を印刷することも可能である。また、上位機種のQS-70は本体にメモリーカード用スロットを備えており、SDメモリーカード(SDHC対応)/xDピクチャーカード/MMC/メモリースティック(PRO対応)/コンパクトフラッシュを挿入して、メモリーカード内の画像を直接印刷できる。
“キレイ”を実現する特徴が、同社が独自開発した画像処理技術「Image Intelligence」による自動画像補整機能である。これは同社の写真印刷のノウハウを元に開発された技術で、実際にデジカメプリントサービスでの画像補整にも活用されている。QS-70/QS-7ではこの技術の一部を実装し、逆光を補正して顔を明るく補正したり、カラーバランスの悪い写真を補正して人肌を美しい色にするなど、特に人物写真を美しく補正して印刷する機能を備える。
QS-70は本体に搭載した2.4型液晶ディスプレーを使い、手動での補正機能も備えている(QS-7は自動補正のみ)。手動補正では明るさや彩度を指定したり、モノクロやセピア調での印刷といった処理を行なえる。また、写真のトリミングや1枚の用紙を分割して、複数枚の画像を1枚に印刷することも可能である。
印刷解像度は300×300dpiで、CMY各256階調の印刷が可能。パソコンに接続する場合の対応OSは、Windows Vista/XP(Home Edition/Professional)/2000 SP4とMac OS X 10.3~10.4。QS-70は「シルバー」とFinePix Z100fdのピンクモデルに合わせた「ピンク」の2色のカラーバリエーションが用意される(QS-7はシルバーのみ)。
価格はいずれもオープンプライスで、予想実売価格はQS-70が約1万7000円、QS-7が約1万2000円。用紙とインクカートリッジは専用で、それぞれがセットになったペーパーセットが発売される。40枚セットと120枚セットがあり、価格はLサイズで1枚30円程度(40枚セットで1200円程度)と想定されている。ポストカードサイズ用紙セットは近日発売予定。
業務用の証明写真プリンター「FinePix Printer IP-10」
QS-70/QS-7と同時に、同等の印刷機能を備えたデジタル証明写真印刷向け業務用カラープリンター「FinePix Printer IP-10」も発表された。パスポートやIDカードなどに使う顔写真の印刷用途を想定している。印刷方式や解像度はQS-70/QS-7と同等。画像の取り込みはパソコンから、またはメモリーカードスロット経由となる(対応カードはQS-70と同等)。画像確認用に外部ディスプレーをつなぐ映像出力も備える。
価格はオープンプライスで、予想実売価格は約6万円。11月下旬の発売予定。