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過労死、自殺を防げ! ストレスの専門家に聞く「幸せに生きる方法」

2007年10月12日 16時30分更新

文● 松本佳代子、話●大美賀直子

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全力でやる仕事は、2割でいい


 とはいえ毎日残業続きで、朝から夜中までずっと仕事。生活を変える余裕がない、という人は多いだろう。大美賀さんは「仕事も部屋の掃除と一緒で、片付け上手になるべし」と主張する。

「仕事で手が回らないと焦る前に、その仕事を全部、自分ひとりでやらなければならないのか、検討してみましょう。仕事の効率的なこなし方は『部屋の片付け』と一緒です。『今日やらねばならないもの』『明日以降でもいいもの』『じっくり取り組みたいもの」と優先順位を付けて整理します」

 大美賀さんは、その上で「10ある仕事のうち、勝負をかけて全力で挑む仕事は2つ程度で十分」とバッサリ。

「2割をやり遂げることにがんばって、あとの8割は自分以外の人と協力してこなすとか、納期を急がなくても大丈夫じゃないかとか、考え直したりすればいいんです」

 誰もが「評価されたい」という気持ちを抱く。また、「人一倍がんばってしまう人も多い。でも、自分のやるべき仕事を整理したら、「自分が絶対にやらなければならない、自分にしかできない仕事」というのは、予想以上に多くないことが分かる。



3つの要素の確保で、バランスのいい精神状態を保てる


 大美賀さんと話を進めている中で、ストレスをためない生活に必要な要素の話が出た。最後にその話題について書いておこう。

3要素

ストレスをためない生活で重要になるのは、「アウトプット」「インプット」「パスタイム」の3要素

 図では「アウトプット」「インプット」「パスタイム」の3要素をまんべんなく取り入れることで、ストレスにためない生活を実現しやすくなることを示している。

 ここで言うアウトプットとは、他人や社会の役に立つ行為をすること(例:仕事、家事、ボランティアなど)。インプットは、自分をより高めるために、努力して外部から何かを取り入れること(例:体を鍛える、資格取得の勉強をするなど)。パスタイムは、目の前のストレスを解消すること(例:飲酒、映画鑑賞、ドライブ、何もしないでダラ~ンと骨休めするなど)。

 ストレスがたまりやすい人は、これらの3要素がバランスよく実行されてない場合が多い。ストレス解消しているはずなのに疲れが取れない、休みを取ったはずなのに心が晴れないという人は、以下の点を確認してみてはどうだろうか。

【ケース1】アウトプット・パスタイム偏重型
平日はバリバリ仕事をしているが、休日はダラ~ンと休むだけ。何かが足りないと常にモヤモヤしている。

【ケース2】アウトプット・インプット偏重型
平日はバリバリ仕事をして、休日は資格取得の学校やスポーツジムでハードトレーニングをこなすなど、余暇をすべて自分を磨くために使おうとするあまり、ゆとりや余裕を実感できない。


どうして会社に行くのが嫌なのか

どうして会社に行くのが嫌なのか

大美賀直子さんプロフィール

 ストレスと心の分野を中心い雑誌・新聞・テレビなどで活躍するメンタル・ジャーナリスト。日本産業カウンセラー協会認定、産業カウンセラー。情報サイト「All About」(オールアバウト)のガイドとして「ストレス」を担当する。また、この記事の中で、ビジネスマンのストレスやセルフケアに特化した記事をまとめた書籍が「どうして会社に行くのが嫌なのか」(アスキー新書)。今回のインタビュー記事で、少しでもドキっと心当たりがある人は必読だ。


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