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独立すれば、キラリと光る SEのための起業塾 第11回

第11回 不確実を確実へと転換! ビジネスに必須のリスクマネジメントとは

2007年10月09日 11時15分更新

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リスクと向き合い、崖っぷちを乗り切る

 さて、当社の場合の最大の危機は、1993年。ちょうど創業してから3年、バブル崩壊の時期でした。広告宣伝費が一斉に削減され、突然の契約解除に見舞われました。

 それまで、自己資金のみでまかなっていたので、あっという間に運転資金の底がつきてしまいました。そのとき後悔したことは、なぜ健全経営のうちに資金調達の方法を学習しておかなかったか、ということです。危機に瀕してから準備したのでは、本来手遅れなのです。

 私の場合は、そのとき八方あたって、区の融資相談窓口に駆け込み、資金調達が間に合いました。これは不幸中の幸いでしたが、この時から銀行との付き合い方について学習し、「無理をしない範囲で借りて返す」ことの繰り返しが大切なのだということを理解したのです。

 第2の危機は、社員の休職・退職です。今までいくつかのケースがありましたが、当社は女性スタッフのみなので、出産、介護という理由で休職・退職する社員が何人かいました。

 特に休職の場合は、戻ってきた時の席を残して置かなければなりません。そのため、休職期間中は、派遣社員の雇用で対応し、休職した社員に対しては、なるべく仕事の進捗がわかるようにメールでのコミュニケーションをとり、復帰後「浦島太郎」にならないようにと努めたのです。

 また鬱で退職した社員もいました。最初に鬱になった社員が「辞めたい」と言い出したときは、ずいぶん自分を責めたりもしましたが、その後社員のメンタル面により一層配慮し、キャリア・コンサルタントとメンタル・サポーターという資格も取得しました。現在は、なるべく細かく一人ひとりの社員と向き合って、目標設定が立てられるサポートができるように心がけています。

 リスクは起業規模、創業年数かかわりなく、必ずやってきます。しかし、やってきてから考えるのでは遅いでしょう。私もそれで何度も苦い経験をしています。リスクマネジメントとは、健全で体力がある経営状況のうちにこそ、考えておくべきものなのです。「備えあれば憂いなし」とは、まさに言いえて妙だと思います。

奥山 睦氏

著者 奥山 睦
株式会社ウイル代表取締役。
財団法人社会経済生産性本部認定キャリア・コンサルタント、メンタルサポーター。
独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー。
厚生労働省女性起業家支援検討委員として、女性起業家支援ポータルサイトの立ち上げに携わる。
大学、自治体などで数多く「起業論」を担当。
キャリア・コンサルタント有志によるキャリア開発専門サイト、「ウーマンズキャリアナビ」運営。現在「キャリアコンサルティングルーム」をスタート。


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