33歳でIT業界への転職を果たした秘訣は
過去の経験をどう生かすのか履歴書に具体的にアピールしたこと
1999年8月、28歳で編集プロダクションに就職した野村さんは、携帯電話の着信メロディー(着メロ)を専門に扱う雑誌に創刊当初から関わることになった。「仕事は自分で覚えろ」という職人気質な社風の会社だったので仕事の仕方を教えてくれる人はいなかったが、野村さんは積極的に動いて技術を学び、知識を吸収していった。こうして雑誌の編集を続けること5年、野村さんは管理進行係、さらに編集プロダクション所属ながらも副編集長も経験するまでとなった。しかしこの頃、野村さんはあることを考えていた。
「僕が編集プロダクションで働いている5年の間に、1音ずつボタンを打って入力していた着メロがダウンロードできるようになり、服や雑貨を誰でもネット通販で購入できるようになった。そうした時代にあって、雑誌の使命とは何だろうと考えるようになりましたね。また、IT業界に転職する知人も増えていったので、IT関連の仕事に興味も沸きました。そこで、ときどき『僕の編集経験を生かせる仕事がIT業界にもあるかな?』と求人サイトを見るようになりました」
そんな野村さんはほどなくして求人サイトで、自身の経験を生かせるかもしれないと思えた仕事を発見。USENが運営する音楽配信サイト「OnGen USEN MUSIC SERVER」が、編集スタッフを募集していたのだ。そして同サイトがインターネットを通じて楽曲を配信するサービスを拡大・充実していくこと知った野村さんは転職を決意し、前回の転職活動経験を踏まえ、念入りに履歴書作成の準備することにした。
「33歳で未経験のIT業界へ転職を図ったので、履歴書には雑誌の副編集長として作業の進行やクオリティを管理してきたキャリアを単に羅列するのではなく、『編集経験→外部との交渉、ページ制作』『進行管理→スケジュール管理』などと、入社後に担当するであろう仕事にどう生かせるのかを1つ1つ書き、即戦力であることをアピールしました。IT業界のことを何も知らないのに即戦力もないけれど(笑)。また、年齢の割には仕事を覚えたり知識を吸収するのが早いとも訴えましたね。OnGen USEN MUSIC SERVERの面接では『雇用形態は契約社員でも構わないから、仕事をする姿を見てほしい』と、アピールしました。
その結果、野村さんは2004年10月にOnGen USEN MUSIC SERVERの編集スタッフとして採用された。そして、試用期間である最初の3カ月間、履歴書や面接でアピールしたことを実践するため、他人の2倍の仕事をすることを心がけた。その甲斐あって、翌年2月に正社員として正式採用が決定。その後も気を緩めることなく新コンテンツを次々と企画し、同サイトの充実・拡大に努めた。そして2005年10月には編集長に就任。ユーザーがいかにストレスなく音楽配信サービスを楽しめるかを念頭に、同サイトのコンテンツの企画から管理運営までを行なっている。
現在の会社へ転職する際の活動スケジュール | |
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2004年4月 | 転職活動開始(転職サイトのチェック) |
6月 | 応募(転職サイトを通じてエントリー) |
7月 | 1次面接 |
8月 | 2次面接 |
10月 | 入社(正社員) |
2005年2月月 | 入社 |
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