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「ビデオ会議を日本でブレイクさせたい」 マイクロソフトが投入する「RoundTable」とは

2007年09月27日 20時59分更新

文● アスキービジネス編集部

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マイクロソフトは、今秋、同社初のビデオ会議用カメラ「Microsoft RoundTable」を投入し、ビデオ会議市場に本格参入する。今回はマイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部リアルタイムコラボレーション製品マーケティング マネージャである越川慎司氏に、発売前の実際の製品をもとにその魅力を伺った。

「ビデオ会議を日本でブレイ クさせたい」 マイクロソフトが投入...

マイクロソフトが11月に発売する「Microsoft RoundTable」


5つのカメラでパノラマ撮影、自然な会議を実現


 「Microsoft RoundTable」は、マイクロソフトが開発・販売するビデオ会議用カメラである。マイクロソフトがハードウェアを発売するというと珍しい気もするが、同社インフォメーションワーカービジネス本部マネージャの越川慎司氏は、「マウスやキーボードのような位置づけ」と話す。それでも、特定用途向けの端末をマイクロソフトが出すのは初であり、「マイクロソフトのハードウェア製品としてはもっとも大きく高価なものになる」(同)というから、ビデオ会議に賭ける同社の意気込みが伝わってくる。

「ビデオ会議を日本でブレイ クさせたい」 マイクロソフトが投入...

5つのカメラを下から上に向けて配置して360度のパノラマ映像を撮影する

 RoundTableの特徴は、見慣れない独特の形状にある。本体上部のカメラ部分には、5つのカメラを上向きに配置。円錐状のミラーに反射させて360度のパノラマ映像を撮影する仕掛けだ。これまでの一般的なビデオ会議システムは、固定式のカメラを切り替えるか、もしくは可動式のカメラを使うため、会議の出席者がカメラに向かって横一列に座る必要があり、スムーズな利用が可能とは言いがたかった。

 これに対してRoundTableは、一般的な企業の会議室のテーブルの中心に設置し、通常の会議のように周囲を取り囲むように出席者が座る。さらに、「アクティブスピーカー」と呼ばれる機能により、音声の大きさに反応して発言者の顔が常に中心に来るよう、自動的にカメラが切り替わるようになっている。「より会議に集中してもらえるようにした」(越川氏)というように、自然なビデオ会議を実現できるのがメリットだ。

「ビデオ会議を日本でブレイ クさせたい」 マイクロソフトが投入...

クライアントソフトの画面。360度カメラによる出席者の一覧を下部に表示し、現在の発言者が大きく映し出される。PowerPointなどの資料を共有しながらの会議も可能だ

 RoundTableに対応するソフトウェアは、マイクロソフトが11月に発売する予定の企業向けのサーバソフト「Microsoft Office Commnucations Server 2007」(OCS 2007)。OCS 2007は、プレゼンス(在籍情報)管理をベースに、電話(IP-PBX)、インスタントメッセンジャー、モバイルアクセスなどを統合する“ユニファイド・コミュニケーション”を実現する製品だ。Office 2007やWindowsなどのマイクロソフト製品と連携して動くのが強みで、Outlookに登録したスケジュールをもとにプレゼンスを更新したり、Officeアプリケーションから電話を発信できる。

 RoundTableとOCS 2007を使ったビデオ会議でも、こうしたOCS 2007の強みを受け、PowerPointなどのOffice文書やWindowsアプリケーションを共有しながら会議をしたり、OCS 2007のプレゼンスから会議を開始できるようにした。もちろん、会議の様子を動画で記録して欠席者向けのフォローやeラーニングに利用するといった、他のWeb会議システムが持つ機能も備えている。


“中間狙い”でビデオ会議の需要を掘り起こす


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日本では延長用のマイクや操作パネルも付属する予定

 マイクロソフトが今回のRoundTableで狙うのは、「ビデオ会議システムを使いたいが使えない」という新たな顧客層の開拓だ。

 ビデオ会議システムの市場は、各社がさまざまな製品を投入して普及を訴えてきたものの、実際には一部を除いて、一般の企業にはまだあまり浸透してこなかった。

 その理由の1つは価格と質のバランスにある。「ビデオ会議をちょっと使ってみたいが、Web会議だと満足できない顧客も多い」(越川氏)。そこで、越川氏はRoundTableで「“テレプレゼンス”のような数千万円規模のシステムと、Webベースで手軽に利用できるシステムとの間を狙いたい」という。RoundTableの価格帯は「他社のビデオ会議用端末の半額程度」という30~40万円に抑える予定だ。

 「他社の顧客を奪うのではなく、新たな顧客層を広げることで日本でもビデオ会議市場を本格的にブレイクさせたい」と意気込む越川氏。正式発表前ながらも、すでに数社の大手リセラーが確定し、数百台の予約が入っている状況だといい、前評判は上々なようだ。今年10月、マイクロソフトはOCS 2007とRoundTableを正式発表し、日本でのビデオ会議の普及に本腰を入れる。

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