マッシュアップとビジネスをつなげるには
twitterなど日本ではまだ馴染みが少ないサービスも「今までと違ったサービスができるのでは」という視点から、サイトに反映させられる。こうしたことが実現できるのが実験サイト『駅探ラボ』の魅力であり、駅前探険倶楽部のマッシュアップの取り組み方のようだ。ただし、おもしろいサービスができるだけではビジネスとして成立しない。どのように収益をあげていくことを考えているのだろうか。
「『駅探ラボ』は、あくまで試験運用サイトという位置づけなので、直接的に収益をあげることは考えていません。売り上げの主軸は『駅探』のモバイルの課金サービスから入ってくる収入と、インターネットの広告収入です。なので『駅探ラボ』のビジネスモデルは、新しい技術などを取り入れたサービスを試験運用させ、利用者の反応を確かめながらサービスとして発展させていくことや、『駅探』で運用できる新サービスを誕生させることです。そのことが『駅探』をもっと魅力的なサイトにすることにつながり、収益にもつながると考えています」(奥津さん)
加えて、魅力的なサービスを作り出すには、ユーザーの裾野をもっと広げることが大切だと奥津さんは言う。そのためには、技術面で厳しい課題があるそうだ。
「専用ソフトのインストールが必要なPlaceEngineや英語版のtwitterの機能を載せると、操作方法がわかりづらくなる可能性もあります。また、twitterとの連携1つとっても今は「駅名」を抽出させるために、メッセージの記入方法に制限がかかっている状況です。こういった1つ1つの操作の煩雑さや使いづらい状況を改善させていかなければならないと考えています。『駅探』で運用できるサービスにするためにも、誰もが使いやすいサービスであることが大切なのです。私たちエンジニアもそのことを心がけています。簡単で便利、さらにもう“ひとひねり”の楽しさがあれば、いいビジネスにもつながっていくと確信しています」(奥津さん)
IT技術の進化に合わせてサービスも多様化する中、企業は時代に合ったサービスを常に提案・提供していかなければならない。しかし、自社サービスを発展させる目的で開発した技術から、新たな価値観を生み出すのは難しい。そこで、マッシュアップが効果的に利用できるようだ。他社サービスと自社サービスと組み合わさるという制作者の柔軟な発想力は、ビジネスへとつながっていく可能性があるのだ。
- ■取材協力
- 株式会社駅前探険倶楽部
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