ITILについての間違った認識。実践の意義とは
ITILを実践することでコストが削減できるという誤った認識をされている人もいます。しかし、そうではありません。実践して成功を上げている先進企業を例に見ても、経費節減のためだけにITILを活用しているところはありません。企業として将来のビジネス成長を支えるために戦略的なIT投資をする必要があり、そのためにはITサービスを可視化し、何ができて何ができないのか、ITはビジネスにどのように貢献するのかを考えることが大切になる。ITILはそれらを明確にする重要なツール・手法として位置づけられています。
実際にITILを実践することの意義の1つは、ITサービスにおける共通認識や考え方が持てることでしょう。たとえば、地域性という視点でITサービスを考え、システム運用をアウトソースもしくはオフショアする際に、移管するのは日本国内のみならず、アジアや北米、ヨーロッパなどの海外になり得ます。その場合、ある特定の地域または企業独自でのやり方では移管先との間に認識や考え方にギャップが生まれ、成功させるのは難しいでしょう。そこで、世界標準のITの考え方や手法が求められるのです。
さらに例をあげると、インシデントが発生した場合、そのインシデントに対する認識は、置かれている立場によって異なります。インシデントが起こった際に復旧させる時間や、緊急度が企業や業種によって異なるからです。では、どのように判断すればいいのでしょう。それは、企業の持っているビジネス戦略へのリスクや社会に与える影響度の等のすべてに基づいて決められるべきです。一刻も早くビジネスを復旧するためには何が大切なのか、その考え方が基本なのです。
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