モバイル版のGoogle検索では崩せなかった「牙城」
今回のサービスは、まずは米国でスタートし、日本では約1ヵ月遅れで始まるが、基本的なサービス内容に違いはない。米国がWAP(Wireless Application Protocol)などの米国携帯電話用のウェブサイト仕様に対応しているのに対して、日本が国内の携帯電話で使われているCHTMLベースになっている程度だ。
ラーゲリン氏は、米グーグルが携帯電話でのモバイルサイトの利用が進んでいる日本市場に大きな期待を寄せており、一般のユーザーにも「どんどん使ってほしい」と語っていた。今回発表の新サービスは、日本の携帯電話向けコンテンツ市場のあり方を大きく変えるきっかけになりそうだ。
昨年、各社がこぞってパケット定額制を導入し、KDDIがモバイル版のGoogle検索などを採用したことで、業界の一部では公式コンテンツのビジネスモデルが崩れるといわれた。
携帯電話でもパソコンと同様に検索して、有料の公式コンテンツの代替となる“勝手サイト”を探して、そちらを利用すれば無料で済むからだ。多くの携帯電話がパソコン用ウェブサイトを閲覧できる“フルブラウザ”を採用したことも、そうした動きを後押ししていた。
しかし、実際にはそうしたことはなく、2006年度の公式コンテンツに関連したビジネス市場の合計は、着メロ/着うたの販売や物販なども含めて合計9285億円規模と、2005年から2051億円も増加している(総務省調べ)。
公式コンテンツが主流のビジネスモデルが変わる?
筆者はこれにはいくつかの原因があったと思っている。
1つは携帯電話用のフルブラウザは操作性が悪く、よほどのことがない限り使う気になれなかったこと。もう1つは、通常のウェブサイトとは別に、数字パッド+小さな液晶画面という制約のある携帯電話用のウェブページを用意するのは、それなりにコストがかかるということ。
そして、最も影響を与えているのは、そうしたコストを捻出するためのビジネスモデルで主流だったのが、キャリアの公式コンテンツとなって月額利用料を徴収するというモデルだったという点だ。
確かに、これまでにも携帯電話用の広告を扱っている代理店はいたが、広告主も少なければ、中小のウェブサイトのオーナーが簡単に契約を結ぶことはできなかった。そこへインターネット広告大手のグーグルが参入し、個人ブログへの広告でも実績のあるAdSenseのモバイル版を提供したことは大きな意義がありそうだ。