やや描写に不満の残る広角レンズ
撮影サンプル1 広角レンズならではの広い画角は使い勝手がよく、画像中央部だと描写もしっかりしているが、周辺部での画像の流れは大きい。プログラムオート、1/200秒、F8、ISO 80。元画像は3264×2448ドットで、掲載用に800×600ドットにリサイズしている
撮影サンプル2 特に明暗の差が大きいシーンでもしっかりした自動露出が得られるのはさすがだが、低ISO感度粋でも画像にざらつきが見られるようになる。やはり中央部のシャープさに比べて周辺部の画像の流れは大きい。プログラムオート、1/250秒、F8、ISO 80
3インチ液晶パネルを搭載するコンパクトデジタルカメラは増えてきており、それほど目新しいわけではないものの、それでも28mm広角レンズで使うと広い液晶画面で画角の広さを実感でき、撮っていてもすこぶる気持ちがいい。
しかし、撮影画像を見ると中央部はしっかりとシャープに写っているものの、中央部からちょっと外れただけでとたんにシャープさが失われ、周辺部ではかなり画像が“流れてしまう”。コンパクト機の広角レンズは周辺が歪んで描写が甘くなるのはやむを得ないところもあるのだが、やはりもう少し改良してほしかったところではある。
撮影サンプル4 ISO 800を超えるとノイズが目立ち始めるものの、光学式手ぶれ補正もあってかなり薄暗いシーンでも手持ちで撮影できのはありがたい。プログラムオート、1/20秒、F2.8、ISO 800
画像処理エンジンは従来機と同じDIGIC IIIを用いているだけあって発色は非常によく、コントラストの強い部分ではややエッジの着色こそ見られるものの明部/暗部ともにしっかりした描写となる。撮像素子に変更があるため高感度におけるノイズ量も変わっているが、だいたいISO 400までは画像がざらつくもののノイズとしてそれほど意識しなくて済むレベルだが、ISO 800あたりからかなりノイズが増えてくる、という具合だ。
撮影サンプル5 近接撮影では通常モードで45cm(広角)、マクロ時は3cm(広角)~30cm(望遠)と幅が広いため、最適な距離とズーム倍率を決めるのに注意が必要だ。プログラムオート、1/60秒、F2.8、ISO 80
IXY DIGITAL 910 ISという名前からして、従来機の900 ISのマイナーチェンジという印象が強いものの、撮像素子や液晶ディスプレー、ボディー(外観)やインターフェースに至るまで一新されており、まったく新しい製品となっている。コンパクトな広角レンズならではの周辺描写の甘さは気になるものの、IXY DOGITALシリーズならではの発色や使い勝手はなかなかのもので、広角コンパクトを気持ちよく使いたい人にお勧めしたい。
IXY DIGITAL 910 ISの主なスペック | |
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製品名 | IXY DIGITAL 910 IS |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効800万(総830万)画素CCD |
レンズ | 光学3.8倍ズーム、f=4.6~17.3mm(35mmフィルムカメラ換算28~105mm)、F2.8~5.8 |
静止画撮影 | 最大3264×2448ドット |
ISO感度 | オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当 |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 3インチ低温ポリシリコンTFT、約23万画素 |
記録メディア | SDカード(SDHC対応)/MMC(32MBメディア付属) |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NB-5L) |
撮影可能枚数 | 約270枚 |
本体サイズ | 92.6(W)×25.9(D)×58.8(H)mm |
重さ | 155g(本体のみ) |
