本日、社団法人日本自動認識システム協会(JAISA)主催で「第9回自動認識総合展/AUTO-ID セキュリティEXPO」が東京ビッグサイトにて開催された。「第9回自動認識総合展/AUTO-ID セキュリティEXPO」は14日までの3日間にわたり、約3万3000人の来場者を見込む。
RFIDはまず目的特化型の使用が先か
本日、9 月12日から14日までの3 日間にわたり、社団法人日本自動認識システム協会(JAISA)主催で「第9回自動認識総合展/AUTO-ID セキュリティEXPO」が東京ビッグサイトにて開催される。
この展示会は、「バーコード・2次元シンボル、RFID、バイオメトリクス、カードといったID の最先端技術」と「ID 技術を活用した、業務の効率化、省力化・コスト削減、安全・品質管理、顧客サービス向上のための自動認識ソリューション」のテーマに構成されており、昨年は3万5000人以上の来場者数を記録するなど業界の注目を集めている。今年の見込み来場数は3万3000人(昨年、相互入場可能であった「国際物流総合展」が今年はないため、見込み来場数は減少している)。
近年、物流業界や流通業界などの注目を集めるIDの最先端ソリューションとして、毎年RFIDのソリューションを提示しているが、なかなか実際のビジネスの現場に導入されている実例は増えていない。関係者からは「市場の広がり具合は数年前に予想された数値に比べ、はるかに小さい」といった声が聞こえる。
その理由の一つとしてあげられるのが、RFIDのタグの単価がなかなか落ちないことだ。年々価格が下落しているとはいえ、中心の価格帯はやはり100円前後のものが多い。ロット数にもよるが、単価の低い商品で使うにはなかなか厳しい状況だ。卵が先か鶏が先かの議論ではないが、単価が低くならないと大量に使用されることもなく市場が広がらず、市場が広がなければタグの低価格化もない。RFIDタグへのデータ書き込みを可能にした業界初のカラーラベルプリンターを発売したキヤノンの営業マンからも、「製品の売上げはRFIDタグの単価に大きく左右されるが、こればかりはどうしようもない」とこぼす。
そのような中、今回出展している企業の非接触ICカードの製品で、1枚あたり最低価格のタグを実現したのが大日本印刷だ。大日本印刷の「DNP低価格ICカード」は、紙タイプのものであれば10万ロットで1枚あたり50円を実現した。この価格帯であれば、各種コンサートのチケットや商品券、ポイントカードなどで「使い捨てICカード」として市場を広げることを期待されている。この「低価格ICカード」は今秋から発売予定だが、「年内の生産は予約で全て埋まっている」と低価格のICカードを使用したいユーザーには好意的に迎えられているようだ。
一方、「単価のことを聞いてくる企業はほとんどRFIDのことが分かっておらず、導入することはほとんどない。むしろ、こういったことをしたいのだがどうすれば良いか?と目的を明確にした企業に対するソリューションを提案することが大切」と、自動認識技術に定評のあるサトーの営業3課課長 伊藤雅典氏は語る。
そのサトーの「ヒューマンICワンチェック」(製造・開発元:マトリックス)が、先進的な自動認識システムや技術をJAISAが賞する「2007年 自動認識システム大賞」で、「フジサンケイビジネスアイ賞」を受賞した。
「ヒューマンICワンチェック」は赤ちゃんの足にICタグをついた小さなリストバンド(3cm角、6g)をつけることで、病院の天井や床に埋め込んだ特定のチェックポイントを無許可で赤ちゃんを連れ出すと警報機が作動するという仕組み。連れ去りの犯罪が行なわれた発生時間や、通過した場所がPC等の端末に通知されるような防犯ソリューションとなっている。
防犯という切り口で言えば、埼玉県蕨市などいくつかの市町村で児童の登下校時の安全を担保するためにICタグを活用し、保護者がPCなどで我が子の位置を確認できるといった取り組みがすでに行なわれている。ファミリーマートなどの小売業が実証実験を行なっているような、商品にICタグをつけてレジで読み取るといったシーンを日常で目撃するのはまだまだ先だが、目的を特化したRFIDソリューションは少しずつ生活圏に浸透していくようだ。