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転職経験あり! 仕事人たちのストーリー 第16回

大企業からベンチャー企業へ転職 転職成功で得たもの、失ったもの

2007年02月01日 00時00分更新

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大企業からベンチャーへの転職! その決定的理由とは

 加藤さんがオウケイウェイヴで最も魅力的に感じたのは、設立して間もない会社の土台となる仕事に携われることだった。当時、個人をつなぐコミュニティとして運営していたQ&Aシステムを、いずれ企業に提供してビッグビジネスにしていくという構想に惹かれたそうだ。またFAQサービスに、ビジネスだけでなく社会貢献にも発展する可能性があることも興味深かったという。とはいえ、大企業のNTTから設立したばかりのITベンチャーへの転職は不安要素がたくさんあるはず。加藤さんは安定した給与や社会的なステータスなどを手放すことに、迷いはなかったのだろうか。

「安定性や収入、ステータスなどよりも、どんな仕事ができる人生にするのかを僕は重要視していたので、特に迷いはありませんでした。それに大企業だからといって安心できる時代でもありませんしね。当時のオウケイウェイヴは小さなアパートで7~8人が作業しているような会社でしたが、大企業にはない自由な雰囲気があり、自分の目指すものが作れるかもしれないという希望に満ちていました。社長には『入社するかどうかはあなたの意思次第ですから、考えがまとまったら返事を下さい』と言われました。でも僕の気持ちはすでに転職に傾いていましたね」

 そこで加藤さんは、自分の転職に対する判断が正しいかどうかを確認するために、週末はオウケイウェイヴのシステムやモジュール作りを無償で手伝うことにした。新しいシステムや会社が成長する基盤を作ることはとても楽しく、ますます心が転職に傾いたという。この手伝いを1カ月ほど続けた加藤さんは、オウケイウェイヴへの転職を決意。受け入れ態勢はすでに整えられていたので、NTTに退職したい意向を伝えた。直属の部長や課長はすぐに納得してくれ、業務の引き継ぎもスムーズに進んだ。しかし、人事部の担当者が加藤さんを強く引き止めたそうだ。

「人事部は『開発部署を希望しているのなら異動してもいい』『あなたの育成にかかったコストを償却するだけの仕事をしていますか?』など、答えに窮することばかり投げかけてきました。まるで退社するための面接ですね、転職先の入社面接はなかったのに(笑)。結局、話し合いは半日も続きました。退職時に人事部を説得するには『もっとやりたい仕事がある』と真摯に伝えるのに加えて、転職がどれだけ自分にとってプラスになるのかを説いて納得させることが大切です。『今の仕事がイヤだから』『自分に向いていないから』といったネガティブな発言は絶対にしてはいけません。そういう後ろ向きな考え方では説得できませんし、なぜそう感じるのかと追い込まれるだけですよ」

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