日本エイ・エム・ディ(株)(以下AMD)は11日、サーバー向けクアッドコアCPU“クアッドコア AMD Opteronプロセッサー”(以下クアッドコアOpteron、関連記事)の発表会を東京都内のホテルにて開催した。発表会ではクアッドコアOpteronによるベンチマークテストの結果や性能デモが披露され、優れた性能を誇示した。
クアッドコアOpteronは、同社初のサーバー向けクアッドコアCPUで、1つの半導体ダイ上に4つのCPUコアと2MBの共有3次キャッシュメモリーを備える。なお、CPUについての詳細は関連記事を参照のこと。
発表会でクアッドコアOpteronについての説明を行なった米AMD社上級副社長兼CTOのフィル・ヘスター(Phil Hester)氏はその特徴について述べた。ヘスター氏はパフォーマンスの向上以外に、強化された仮想化機能やプラットフォームの継続による“投資の保護”、電力効率といった点を強調。Opteronがターゲットとするサーバーやデータセンター用途に適した製品であることをアピールした。特に“データセンターのために創られたプロセッサ”と題したスライドでは、サーバー統合に重要な仮想化、設計・運用コストに関わる電力効率の利点などを取り上げた。
また、AMDがクアッドコアOpteronと同時に提言した“ACP”(Average CPU Power)についても言及した。ヘスター氏はあくまでTDP(Thermal Design Power)はいわば“最悪ケース”であり、実際にCPUが消費する平均の電力は、最悪時を20%下回るとした。しかしTDPが基準となっている現状では、ITマネージャーは20%上の見積もりでデータセンターを設計することになり、余計なコストを負担しているとした。ACPを基準とすることで、こうしたコスト上昇が避けられるというわけだ。
ヘスター氏のプレゼンテーションでは、デュアルコアOpteronやインテル(株)のクアッドコアXeonと、クアッドコアOpteronの性能を比較したベンチマーク結果のスライドが複数示された。また、ヘスター氏のプレゼンテーションに続いて、実際のクアッドコアOpteron搭載システムを使った消費電力や仮想マシンのパフォーマンスも披露された。消費電力比較では、CPUやチップセット以外はおおむね同等の構成で構築したクアッドコアOpteronとクアッドコアXeonのシステムで同じ処理を実行したところ、Xeonのシステムが平均350W程度だったのに対してOpteronのシステムは平均300W程度と、低い消費電力を実証してみせた。
また仮想マシンでのパフォーマンス比較では、クアッドコアOpteronで搭載した仮想環境のパフォーマンス向上機能“Rapid Virtualization Indexing”(RVI)を有効にした状態と無効にした状態で同じベンチマークプログラムを実行し、処理にかかる時間差を見るテストを行なった。RVIは仮想マシン(VM)上のソフトウェアがメモリーアクセスを行なう際に、VMモニターがソフトウェア的に行なっていた仮想→物理アドレス変換をCPUのハードウェアで行なう機能という。これにより仮想マシン上のソフトウェアのパフォーマンスが向上するとしている。実際に披露されたデモでは、RVIを無効にした環境が84%程度の処理しか済んでいない時点で、有効にした環境はベンチマークプログラムの処理を終えていた。
プレゼンテーション中では、クアッドコアOpteronと同様のアーキテクチャーを備えたパソコン向けクアッド/デュアルコアCPU“Phenom”(Phenom)シリーズについても言及された。Phenomは2007年12月の出荷開始予定という。