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プロが見る『ニコンD300』と『EOS 40D』

デジタル一眼レフに“中級機戦争”始まる

2007年09月11日 12時45分更新

文● 小林 伸(プロカメラマン)、撮影●編集部

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中級機に対するメーカーのスタンスが明確に


 以上、筆者が気になった部分を中心に、ざっくりとD300とEOS 40Dのスペックをさらってみた。ここで、D300とEOS 40Dのスペックを見た際に、同じ中級クラスの製品といっても、両社のプロシューマーに対する感覚の違いがずいぶん違うものだなと感じた点に言及しておきたい。

 筆者は現在D200を使っているが、ニコンのシステムに固執するつもりはさらさらない。同クラスで性能が格段に向上するのなら、乗り換えは辞さないつもりだ。銀塩の時代にはキヤノンの『EOS-1』からニコンの『F5』にシステムを入れ替えた経験があるが、その逆だってあり得るのだ。

 ただし、今回の発表を見る限り、EOS 40Dの進化はどちらかというと順当で、オーソドックスなものというのが第一印象だった。実際の絵を比較していないので、その部分の評価は保留するが、今のところ「買い換えるほどではない」というのが率直な感想だ。

 簡単に言うと、EOS 40Dは「プロというよりはハイアマチュア」、D300は「ハイアマチュアというよりプロ」に寄った商品企画になっていると感じたのだ。考えるに、キヤノンのEOS 40Dは初級クラスからのステップアップにより注力した仕様になっている。手ぶれ補正に対応した比較的安価なレンズも新開発し、同時発表した点などからもこのあたりは伺える。

 一方でニコンは、D300を単なる中級機種ではなく、APS-Cサイズの撮像素子を採用した「“ニコンDXフォーマット”の最上位機種である」と表明している。型番こそD200の後継だが、その上位機種である『ニコンD2Xs』をことごとく超えた性能を備えているのだ。



20万円を境に2つの市場が形成される


 EOS 40Dに関してもうひとつ気になったのが、搭載された撮像素子の画素数である。EOS 40Dの登場によって、現在のキヤノンのラインアップは、初心者向けの『EOS Kiss Digital X』から、プロシューマー向けの『EOS-1D MarkⅢ』まで、同じ画素数にそろってしまった(35mmフルサイズ機のEOS 5Dを除く)。撮影機能に関しては格段に違いが出るにしても、いままで画素数でキレイなラインアップの順列を作ってきたキヤノンとしては意外な選択に感じた。

 これはもしかしたら、画素数でユーザーへの訴求を行なう方針が一段落したと見るべきなのかもしれない。

 エントリークラスの一眼レフ機は、すでにかなりの低価格化が進行している。レンズ込みで10万円以下が当たり前と言う状況だ。それに準ずる形で、その上の中級機もさらなる低価格化が進むだろう。

 実売価格に関しては、EOS 40DよりもD300の方が明らかに高価格になる(EOS 40Dはボディーのみで15万円。D300は約23万円程度)。そういう意味では、EOS 40DはEOS Kiss Digitalシリーズからのステップアップに最適な価格帯である。一方で、D300のように20万円を超える価格帯の製品は、相対的に従来の中級機よりは高価なカテゴリーの製品となるかもしれない。半端なスペックでは満足してもらえない状況が生まれるはずだ。

 今年の年末は、ソニーの『α700』など、ニコン、キヤノン以外の各社から中級クラスの製品が投入される。そういう意味では、デジタル一眼レフでこれから面白くなるのは中級機と言ってもいいと思う。

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