携帯電話やポータブルオーディオプレーヤーなどの記憶媒体として普及が進むフラッシュメモリー。最近ではハイブリッドHDDやSSD(Solid State Drive)といったかたちで、パソコンの記憶媒体としても使われ始めている。
これまでパソコン用大容量ストレージの代名詞だったHDD。しかし、フラッシュメモリーはHDDに比べて、“衝撃に強い”“軽量小型”“消費電力が少ない”などといった特徴を持つ。
これはパソコン(特にノート型)との親和性が高い。現時点では、容量単価はHDDの方が圧倒的に安いが、フラッシュメモリーの価格もここ数年で劇的に下がると予測されている。
そのため、「フラッシュメモリーが今後HDDに取って代わるのでは?」と言う声も聞くようになった。
フラッシュメモリーの大手、米サンディスク社の会長兼CEO エリ・ハラリ氏も、6日に行なわれた記者発表会で、HDDよりNAND型のフラッシュメモリーのほうが優れているとコメントし、「5年後に後最も使われている記憶媒体はフラッシュである」と述べたばかりだ(関連記事)。
しかし、HDDメーカーの最大手、米シーゲイト・テクノロジー社の考えはこれとは少し違うようだ。
フラッシュが伸びれば、HDDも伸びる
同社日本法人のシーゲイト(株)が7日に開催した記者会見の席上で、小林剛代表取締役社長は「フラッシュは敵ではない。むしろわれわれの仲間だ」と話した。
その理由は次のとおりだ。フラッシュメモリーはポータブルオーディオプレイヤーや携帯電話機などで多く使われているが、その中のコンテンツの多くは、自宅のパソコンやiTunesなどのサーバー、つまりHDDから移してきたものである。
またモバイル機器に貯まったコンテンツのバックアップ先は、結局はローカルのHDDである。つまり、モバイル機器とともにフラッシュが普及すればするほど、容量が多いHDDの需要は伸びるというのが、シーゲートの見解だ。
米調査会社のIDCも、今後5年間はHDDの出荷数は減らないとしている。むしろHDDの出荷数は増え続け、その上でハイブリッドHDDやSSDの数も増えると予測しているという。
小林氏は「HDDにもフラッシュにもそれぞれ長所がある。対立関係にはならない」と述べ、今後は従来のHDD事業を継続しつつ、フラッシュ事業にも積極的に参入していくと意志表明した。シーゲイトはすでにハイブリッドHDDを出荷しているが、来年にはSSDをラインアップに加えるという。
大方の考えとは違い、「HDDとフラッシュは共存できる」というのがシーゲイトの見解のようだ。