(株)シマンテックは7日、東京・六本木のグランドハイアット東京にプレス関係者を集め、同社セキュリティーソフトの最新版としてアンチスパム機能を持つウイルス対策ソフト『ノートン・アンチウイルス2008』(NAV2008)と、統合型セキュリティーソフト『ノートン・インターネットセキュリティ2008』(NIS2008)を発表した。ダウンロード版が本日発売開始されており、3台までのパソコンにインストール可能な“標準パッケージ”の価格は、順に4935円、6300円。パッケージ版は今月21日に発売され、価格は6195円、8190円。このほか5台/10台用のライセンスパッケージなども用意されている。
今回のバージョンアップの特徴は、パフォーマンスの向上、セキュリティー機能の強化、“ネットワークマップ表示”機能の搭載、サポート機能の強化・拡充、そして個人情報の漏洩を防ぐという“ノートンIDセーフ”の搭載(NIS2008のみ)、などが挙げられる。
パフォーマンスの向上は、特に利用者が不満に感じるメニュー画面のレスポンスや“クイックスキャン”(メモリーやシステムファイルなど重要なファイルのみをウイルスチェックする)の実行時間を特に短縮したという。詳細なテスト環境は明かされなかったが、起動時間が10秒未満(従来は14~25秒程度)、クイックスキャンは1分55秒(従来は2分15秒)に短縮した。使用するメモリー容量も10MB(従来は10~15MB必要)に減少して、パソコン環境への負荷を減らしている。
セキュリティー機能の強化は、同社独自の“SONAR”(Symantec Online Network for Advanced Responce)によるもので、パソコンへの脅威(悪意のあるプログラムなど)の侵入を防ぐ、侵入した脅威の活動を防ぐ、脅威に対する迅速な検出を行なうという3段構えで対策しているという。NAV/NIS2008で特に強化されたのは“Browser Defender”(ブラウザ脆弱性対策)機能で、Internet Explorerの脆弱性を悪用する既知/未知の脅威をビヘイビア検出技術(行動パターンによる検出)で対策するという。さらに、万一パソコン環境に脅威が侵入して動作を始めても、“SONARスマートファイアウォール”のアウトバウンドファイアウォール機能によって情報の漏洩(配信)を未然に防ぐことができるとしている。
ネットワークマップ表示は、家庭内LANおよび無線LAN(NIS2007のみ)に接続されたパソコンやデバイスを一覧表示し、NIS/NAVがインストールされたパソコン/デバイスに対しては、セキュリティー状態(パターンファイルの更新など)のチェックを行なう。もしパターンファイルの更新が滞っているなど、セキュリティーの低下があれば警告を出すとともに、ユーザーに対策をアドバイスする。
サポート機能の強化・拡充は、同社の初心者向け統合セキュリティーサービス『ノートン 360』(関連記事)にも搭載しているもの。ユーザーがヘルプやサポートを参照する典型的な事象(パフォーマンスが低下した、メールが受信できない、ウェブサイトが閲覧できない、など)の対策を、1クリックで自動的にチェックして必要があれば設定変更まで行なうというもの。また、シマンテックから直接サポートを受けたいユーザー向けには、チャット/メール/電話(番号一覧や時間帯情報)を1ボタンで起動してコンタクトできるメニューも用意している。
今回NIS2008に新たに搭載されたノートンIDセーフは、ID/パスワードや氏名、住所、電話番号、クレジットカード番号などの重要な個人情報をまとめて管理し、特定サイトのログイン画面やショッピングサイトの注文画面などでメニューから選択するだけで自動的に入力するというもの。個人情報は暗号化して管理されており、キーワードから入力しないので“キーロガー”(キーボード入力を監視して、内容を記録・盗聴するプログラム)などによる情報漏洩が防げるという。さらに、フィッシング詐欺対策機能と連動して、ノートンIDセーフから個人情報を入力しようとするウェブサイト/ページが信頼できるかどうかもチェックしている。
対応OSはどちらもWindows Vista/XP(SP2)。
ボット対策ソフトや
スマートフォン対応セキュリティーソフトも!
発表会で登壇した米シマンテック社(Symantec)のシニア プロダクト マネージャー(ノートン・インターネットセキュリティ担当)のジョディー・ギブニー(Josephine Gibney)氏は、「2006年下半期は、同年上半期よりアクティブな“ボット”(悪意のある利用者にインターネット経由で遠隔操作させられるパソコン)の数が29%増加し、600万件以上になった」として警鐘を鳴らし、これに対応する“SONARビヘイビア検出”技術を開発していると述べた。この技術を使った『ノートン・アンチボット』は今年秋にリリース予定であるという。
また、「次にハッカーが狙うのはスマートフォン端末」と指摘し、Windows Mobileに対応する『ノートン・スマートフォンセキュリティ』を、米国ではパブリックβ版を公開中で、秋頃発売予定。そのほかの地域については発売時期を検討中、と述べた。いずれも、日本での発売時期など、詳細は未定。