ソニー(株)とソニーマーケティング(株)は6日、デジタル一眼レフカメラ『α700』を発表した(関連記事)。価格はオープンプライスで、発売は11月。ここでは本日都内で開催された発表会で得た情報を中心に紹介する。
α700シリーズのラインアップ
- DSLR-A700P
- ボディーのみ
- 予想実売価格は18万円前後
- DSLR-A700P
- 新しい標準レンズ『DT 16-105mm F3.5-5.6』を同梱
- 予想実売価格は23万円前後
- DSLR-A700Z
- 『Vario-Sonnar(バリオゾナー) T* DT16-80mm F3.5-4.5ZA』を同梱
- 予想実売価格は27万円前後
ノイズ対策に積極的に取り組んだα700
今回発表されたのは、昨年6月に発表された『α100』の上位機という位置付け。撮像素子を有効1020万画素のCCDから、有効1224万画素のCMOS“Exmor”(エクスモア)に変更。特徴であるボディー内手ぶれ補正効果も最大4段分に向上したほか、ボディーや撮影機能などもハイアマチュア層向けにブラッシュアップされている。
なお、ソニーは今年3月の展示会で、プロカメラマンの使用を意識したフラッグシップモデルの開発に関してもアナウンスしている(関連記事)。こちらの製品に関しても年度内の発売(来年3月まで)に向けて開発が進んでいるという。
アキバで買えば20万円の価値があるCMOSセンサー
α700の改良点のひとつに“低ノイズ化”がある。そのために取り組んだのが、ノイズに強いCMOSイメージセンサーExmorの開発だ。また、画像処理エンジンの“Bionz”(ビオンズ)にも、一体型機『DSC-R1』などで培った、RAW段階でのノイズリダクション機能を搭載した。従来機種では、ノイズ対策のツメが甘いと指摘されるケースも多かったが、この問題に積極的に取り組んだ形となる。
Exmorの最大の特徴は“オンチップ・カラムAD変換”と呼ばれる仕組みだ。
これまでの撮像素子では、アナログの信号を2チャンネルまたは4チャンネルで読み出したのちA/D変換するのが一般的だった。一方、Exmorでは12bitのA/Dコンバーターを画素の列ごとに約4000個配置して、並列に処理する仕組みとした。これにより、アナログ信号のままCMOSの回路内を引き回す配線の長さを短くでき、ノイズの混入を減らせる。また、並列化により、個々の変換処理により多くの時間をかけることができ、画質の向上も望めるという。
ソニー 半導体事業本部 イメージセンサー事業部の上田康弘氏は発表会の席上で「秋葉原でA/Dコンバーターは1個50円ぐらいで売られている。これが4000個なら20万円。そう考えるとすごくお買い得なセンサーなのではないか」と冗談混じりにコメントした。
Exmorではこれに加え、A/D変換の前後で、2回のノイズリダクションを行なう“デュアルノイズリダクション”という仕組みも盛り込んでいる。これはアナログの信号をCDS回路で一度きれいにした上でデジタル化。さらに変換時に発生したノイズを除去するためにデジタル信号にもノイズリダクション処理を行なうというものだ。
α700は常用でISO 3200相当(最大ISO 6400相当)の高感度撮影が可能だ。
なお、ニコンが先日発表したD300の撮像素子もExmorによく似た仕様となっているが、ベースとなる部分はExmorと同様のようだ。ただし、メーカーごとに個別のカスタマイズが行なわれているため、完全に同じというわけではない。