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仕事が楽しい! 人生が楽しい! 奧山 睦氏が語るSEのためのキャリアデザイン 第10回

第10回 部下も上司も“やる気”がない!? SEを襲う「モチベーション・クライシス」に立ち向かおう!

2007年03月06日 00時00分更新

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自分自身の衛生要因と動機づけ要因を紙に書き出してみよう

 では、この衛生要因と動機づけ要因を、具体的に自分の身に引き寄せて考えてみましょう。たとえば仮にあなたが今、「やる気が出ない」と感じているとします。そこで自分の現在の衛生要因、つまり不満の原因となっているものについて、一度紙に書き出してみます。

■衛生要因
1.風邪気味で体調が冴えないから
2.顧客から言われる仕様変更に何度も対応しなくてはいかなくて、憂鬱だから
3.上司からミスを指摘されて怒られ、自信がなくなったから

では、この3つについて阻害要因を抽出してみましょう。

[阻害要因]
1.仕事が忙しくて医者に診てもらう暇がない
2.きちんとした請負契約書を作らずに進んでしまい、仕様変更がある場合の対応を初期の段階で話し合っていなかった。
3.上司に怒られたときに、頭の中が真っ白になってしまい、ミスへの対応についてはっきりと理解できなかった

次に、解決策を考えていきます。

[解決策]
1.体調が悪いことを周囲に話して理解してもらい、医者に行く時間を捻出する
2.今後は請負契約書を取り交わして、仕様変更がある場合は、納期延長と別途費用がかかることを、契約書に盛り込む
3.自分自身を納得させるため、上司に「怒られた理由と解決策」について再度確認する

 では、次に動機づけ要因について考えてみましょう。自分の満足につながるものは何かを書き出し、そしてそれらは現在満たされているのか分析します。また、動機づけ要因は衛生要因よりメンタルなものが多くなります。

■動機づけ要因
1.仕事の達成感
2.仕事そのものの面白さ
3.自分を評価してもらえる仕事への責任、昇進、昇給といった要素

 これら3つの要因を書き出した場合、たとえば仕事の達成感がなければ、自分は満足できないのだと分かります。そしてここから「現在は達成感はある」と考えられた人は、つまり動機づけ要因が満たされていることになります。たとえひとつでも「満たせれていない」と答えた人は、その阻害要因がどこにあるかを考えてみましょう。

[阻害要因]
1.自分で努力してコツコツ仕事を積み上げても、誰にも評価されないために達成感を感じない
2.なんのためにこのシステム開発が必要なのか、目的がわからないために迷いが多く、面白みを感じない
3.人事の査定評価が自分が思っていた以上に低く、納得がいかない。

[解決策]
1.「これだけの仕事をこれだけの期間で遂行した」という事実を明らかにし、他の人にも理解してもらうよう努める
2.仕事に着手する前に、必ず会社にとって、部署にとって、顧客にとって「なんのために」この仕事が必要なのか、また自分が携わる仕事は仕事の全体像にとって、どこの部分を占めるのかを理解する
3.査定評価について人事担当に評価の詳細を聞き、何が不足しているのか、自分自身に起因する問題点を明らかにする

 いかがでしたでしょうか? 解決のためにすぐにやれること、やれないことがあると思います。いっぺんにやる必要はありません。ひとつひとつできる範囲からやっていけばいいのです。衛生要因、動機づけ要因それぞれの阻害要因を明らかにして、解決に向けて動き出すと、仕事への意欲が湧いてきます

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