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仕事が楽しい! 人生が楽しい! 奧山 睦氏が語るSEのためのキャリアデザイン 第9回

第9回 ヤマアラシのSE! 相手との心の距離「パーソナル・スペース」を上手に保とう

2007年02月20日 00時00分更新

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 また、握手をするよりも、むしろお辞儀をするほうが、相手に礼を尽くすとしてきた日本人独自の文化的な歴史があります。そもそも江戸時代には、相手に手をとられることは禁物だったのです。「手の内を見せる」という言葉がありますが、手の平の内側、すなわち抜き打ちの刀の方向性を見抜かれることと同義語であり、武士として恥だとされていました。その結果、視線を合わせずに頭を下げる習慣が生まれました。相手の目をみないでお辞儀をするのはその当時の名残りの習慣なのです。

お互いを認め合って距離を縮める「ひざ詰め談判」

 ビジネスの場面を思い浮かべて、このパーソナル・スペースについて考えてみましょう。たとえば商談を成功させるには、「相手の懐に入る」というたとえをよく使いますよね。まず自分自身の存在を、相手の距離に入れてもらわなければなりません。

 商談で話がだんだん具体的になり、契約段階まで進もうとするとき、お互いが身を「乗り出す」ようにして話し合うようになってきます。お互いの「間」が心を許すことによって、知らず知らずに縮まってくるからです。よく「ひざ詰め談判」と言いますが、お互いの距離を縮めて認め合う手法と言えるでしょう。

 では、相手に近づけば商談は成功するのかというと、必ずしもそうとは言えません。先の外国人と日本人の文化的な違いでも触れましたが、必要以上に急接近すると「馴れ馴れしい」ととられたり、「しつこい」と相手に敬遠されたりします。

SEが陥りがちな「ふれあい恐怖症候群」とは?

 さて、仕事上のやりとりや挨拶を交わす程度ならば問題なくこなすことができるのですが、それ以上の深い人間関係が築けない「ふれあい恐怖症候群」と呼ばれる人たちが増えていると言います。なぜ、これが問題になってきたかというと、ふれあい恐怖症候群の人は、一見、表面的な人間関係には問題がないように見えるのですが、突発的なトラブルが起こったときに同僚や上司に助けを求めることができず、臨機応変な対応ができないからです。その結果、初期のうちに問題解決ができたことも、手遅れになってしまうケースもあります。

 特にSEは要注意! 仕事柄、メールで何もかもコミュニケーションを済ませがちなので、1対1の対面コミュニケーションを極端に避けたり、上司や同僚からランチや飲み会に誘われてもストレスを感じてしまうこともあります。

 これらのストレスは、うまく相手と自分との距離がとれないことが原因です。「こんなことを言うと、相手に不快感を与えるのでは?」と気を遣いすぎたり、「どうせ、自分が何を話しても相手は理解してくれないだろう」と最初から話すことを諦めたり、「自分の話で、きっと相手はつまらない思いをするに違いない」と自分を責めたりしていませんか? そんな時は、自分の行動だけに意識を集中せず、周りがその相手にどのような話し方をしているかを参考にして、行動に移してみることをお勧めします。

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