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単なるシェア拡大ではない、駆け引きがあった

AcerのGateway買収に「レノボの影」

2007年08月29日 14時27分更新

文● 山谷剛史

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逆転の策に出たAcer、レノボを手玉に?


 しかし、エイサーのゲートウェイの買収により、状況は変わった。

 エイサーは“Gateway”や“eMachines”のブランドを得ただけでなく、レノボがこれから買収するはずの“Packard Bell”というブランドまでも手に入れたのである。台湾メディアや中国メディアは、今回の買収について「今後レノボはパッカードベルの買収についてエイサーの顔色を伺わなければいかなくなった」と分析し、一言で「一石二鳥」と表現している。

 今回の買収発表時にエイサーのCEOである王振堂氏は「もうヨーロッパだけに固持するエイサーではなくなった。ヨーロッパで確固とし、アメリカで確立し、世界第三を確立する」と言っている。

 実際過去にエイサーは同社の売上の半分以上をヨーロッパ市場で稼ぎ、残りをアメリカ市場とアジア市場で等分していた。このことから「ヨーロッパ市場ではエイサーのブランド力はすでに充分ある。あとはいかに高くレノボにパッカードベルを売りつけるかだ」と分析している台湾メディアや中国メディアもある。

 パッカードベル買収に意外な横槍が入ったレノボは、昨日「パッカードベル買収計画をあきらめたわけではない」とコメントした。またレノボCEOの柳伝志氏は、このとき新浪網などいくつかのメディアの記者に対し「現在、まだ買収は成功したと言っていない、何を言えというのか」とコメントしている。

 エイサーの王CEOは特に今年に入って、レノボをライバル視していると捉えられるコメントを連発してきた。今回の買収劇によって、レノボを手玉に取れるかも知れないことについて、エイサーは内心ほくそ笑んでいるのかもしれない。

山谷剛史(やまやたけし)

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。

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