既報の通り、台湾の大手パソコンメーカーであるエイサー(Acer)が、米国のゲートウェイ(Gateway)を7億1000万ドル(約825億円)で買収する。
これはワールドワイドなパソコンベンダーの勢力図を変える事件として、当サイトだけでなく、多くのニュースサイトでニュースとなった。この買収により、エイサーはワールドワイドでの地位を高めるだけでなく、地域的に見ても、米国における地位を高めることができるという。
だが、台湾や中国本土のIT系メディアは皆一様に、この買収劇はそれだけが目的ではないようだ、と分析している。
布石となったか、パッカードベル買収問題
パッカードベル(Packard Bell)という会社をご存知だろうか。パソコン歴の長い読者であれば、NECがPC-9800からの脱却の一歩として発売したパッカードベルNECを思い出すかもしれない。
パッカードベルはヨーロッパで第3位のパソコンメーカーであり、アメリカにおけるゲートウェイのように、ヨーロッパで一定の支持を得ているメーカーである。パッカードベルNECの日本法人は、すでに1999年6月に解散し、パッカードベル自身も2006年10月に、eMachines創業者で華僑の許立信(Lap Shun Hui)氏によって買収されている。
そのeMachinesは2004年にゲートウェイが買収した。つまり、「パッカードベルのブランドはゲートウェイの傘下にある」ということをまず理解していただきたい。
さて、そのパッカードベルを巡って今月初めに、レノボとエイサーによる買収合戦があったことが報じられた。結局レノボとパッカードベルの両社から、レノボがパッカードベルを買収することで合意したという発表があった。パッカードベル買収の目的について、レノボの目的としては、ヨーロッパで支持されているパッカードベルを買収することにより、ヨーロッパにおける地位を高めたいというものであった。エイサーの目的について中国メディアは報じていない。