社会保険労務士 中谷充宏 ワタシとカイシャの深ーい溝 労働環境の危険な落とし穴 第4回
第4回 導入されては“失敗”の繰り返し…… どうすべき? 今後の人事制度!
2007年03月14日 00時00分更新
年功序列に取って代わった成果主義は万全な制度なのか?
こうして大半の企業が年功型賃金と決別し、昨今上場企業の9割が導入している制度が、成果型賃金制度です。
この成果型賃金制度、いわゆる成果主義は、基本的には仕事で成果を上げた社員には昇給や昇格で報い、結果を出せなければ賃金は下がる場合もある制度です。しかし、せっかく年功序列より良いとされ、社員のモチベーションを上げるために取り入れられたこの制度が、今度はむしろもっと人事制度として落とし穴があるとされ、問題視され始めているのです。
ベストセラーになった“内側から見た富士通「成果主義」崩壊”(光文社)では、ITのリーディングカンパニーであった富士通が成果主義導入により、負け組に転落する様子を克明に述べています。なぜ日本の大企業の先陣を切って導入した成果主義がうまく機能しなかったのか?
簡単にいうと、成果主義はそもそも日本人になじまないシステムだということなのです。たとえば、自分の評価対象にならないことは一切やらない。ゴミが落ちていても拾わない、他の社員にかかってきた電話は出ない、取り次がないなど。協調性やチームワークといった本来日本人が得意とする和の精神が失われ、それぞれが自分勝手にバラバラに行動する、これでは会社はよくなるわけがありません。 偏った成果主義は、社員のモチベーションを上げるどころか、かえって下げる結果となってしまったのです。
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