サラウンドモードは3種類が用意される
自動設定を行なった状態で、数種類のDVDタイトルを再生してみた。サラウンドのモードは“5ビーム”“ST+3ビーム”“3ビーム”の3種類が用意されている。5ビームでは、フロント左右とセンター、サラウンド左右の5方向の音をビームによって再生するモード。確かに左右の斜め前方(実際には壁の向こう)にスピーカーがあるように感じられ、部屋の大きさよりも広い音場を楽しむことができた。
また5ビームは最も音が際だっており、印象的なサウンドが楽しめる。映画を楽しむ場合に適したモードと言えるだろう。音が背後に回り込む感覚もあるが、背後から音が鳴っている感じはしなかった。もっとも、これは視聴を行なった部屋が縦長であり、奥行きが一般的な部屋より長かったことが一因かもしれない。少なくとも、1台のスピーカーからの音とは思えない音場を体感できた。
ST+3ビームは、センターと左右方向からの直接音(ビーム状に放出されていない音)に、センター、サラウンド左右のビーム化された音が加わったモード。直接音によって前方からの音が際だち、サラウンドにより空間の広がりが感じられる。ライブなどの試聴に適しているとあるが、タイトルによっては映画もこちらの方がリアル感が増すような印象だ。3ビームはST+3ビームから直接音を省いたもので、リスニングエリアを広げることができる。
最小の手間で最大の効果が得られるサラウンドスピーカー
YSP-4000には、サラウンドモードのほかにDSP効果も変更できるようになっている。DSPは場所の違いによる音場を再現するもので、音楽(ビデオ、コンサートホール、ジャズクラブ)、映画(サイファイ、スペクタクル、アドベンチャー)、スポーツの7種類から選ぶことができる。実際に切り替えながら最適なものを選ぶといいだろう。
これらの操作は、すべてリモコンから行なえるようになっている。リモコンの本体右側面には“TV/AV”と“YSP”の切り替えスイッチがあり、YSP-4000だけでなくテレビやAV機器の操作も可能だ。
また、リモコンに搭載されたマイクを使用して、現在ユーザーがいる場所を割り出して最適な音場を構成してくれる“マイビーム”機能も試してみた。マイビーム使用時には音声はモノラルになり、場所を少しでも移動すると音がぼけるような感覚がある。子供がはしゃいでいるリビングのような、雑音の多い部屋で、ニュースなどの音声を自分だけが鮮明に聞き取りたい場合などに有効だ。
YSP-4000を使用してみて、その手軽さと品質の高いサウンドが印象に残った。スペックでは30畳まで対応するとあるが、より小さい部屋の方が高い効果が得られそうだ。普段はひとり、あるいは家族で楽しみ、仲間が集まったときにも十分な性能を発揮するだろう。新たに搭載した圧縮音楽補正機能“ミュージックエンハンサー”により、携帯音楽プレーヤーの音楽も高音質で楽しめるようになった。本格的なホームシアターを構築するには予算や手間をかけられないという場合にも、予想以上のサウンド空間を提供してくれるはずだ。
YSP-4000の主なスペック | |
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スピーカー | 11cmコーン防磁型×2、4cmコーン防磁型×40 |
総合最大出力 | 120W(20W×2、2W×40) |
映像入力 | コンポジット×3、コンポーネント×2、HDMI×2 |
音声入力 | アナログ×3、デジタル(光)×3、デジタル(同軸)×1 |
映像出力 | コンポジット×1、コンポーネント×1、HDMI×1 |
音声出力 | サブウーハープリアウト×1、システムコントロール端子×1 |
デコードフォーマット | Dolby Digital Dolby Pro Logic Dolby Pro Logic Ⅱ(Movie、Music、Game) DTS DTS Neo:6(Chinema、Music) AAC |
本体サイズ/重量 | 幅1030×奥行き144×高さ198mm/15.5kg |