IT関係の仕事をしていると、しばしば「platform」という単語を目にする。この単語を辞書で調べると、実にさまざまな意味を含んでいることが分かる。それをエンジニアたちは、どのような場合に、どういう意味合いで使っているのだろうか。
まずは、platformの意味を「リーダーズ英和辞典」(研究社)で確認した。
platform
(駅の)乗降場、演壇、(階段の)踊り場、台地、台座、砲座、平底船、綱領、(行動などの)基盤や基準
この意味を踏まえて、次の英文を読んでみよう。
freedesktop.org is building a base platform for desktop software on Linux and UNIX.
freedeskotp.org(ソフトウェアを作成するフォーラム)は、LinuxとUNIXのデスクトップソフトウェア開発のための基本環境を提供している。
The new ML300 evaluation platform enables designers to accelerate the development of systems.
新しいML300評価基盤を使えば、設計者はシステム開発を早められる。
1つ目の文章のplatformはソフト開発の環境を指し、2つ目の文章のplatformはハードウェアの基盤のことを指している。このように、IT英語におけるplatformは本来の意味を基に、文脈によって「土台」「基盤」「環境」といった“物事のベースになるもの”を意味する使い勝手のいい言葉として多用されている。
IT技術というものは積み木のように、ある技術をベースにして、その上に技術を上積みしていくことが多い。つまり、エンジニアは“ベースになるもの”を想定して会話をしたり文章を作ったりすることが多いので、platformという単語が重宝がられているのだ。そして、何かと便利な言葉であるが故に、こんな使い方もされている。
Opera is Cross Platform Browser. Opera(Webブラウザ)はクロス(さまざまな)プラットフォームで使用できるブラウザです。
この文章の場合、platformはアプリケーションソフトを動作させる際の基盤となるソフトウェア、つまりWindowsやLinuxなどのOS(オペレーティングシステム)を指しているのだ。
さて、ここでアプリケーションソフトとOSの関係を再確認してみよう。アプリケーションソフトは文書作成や数値計算など、ある特定の目的のための機能をたくさん有する一方、キーボード入力や画面出力などの基本的な機能はOSに“依存”している。つまり、platformというベースの上に成立する物事は、ただ“上に載っている”だけでなく、何かしらをplatformに“依存している”ことを意識する必要がある。
もし、技術書やマニュアル、会話の中でplatformという単語に遭遇したときは、そのベースの上で動くものや存在するもの、依存するものを探すようにしよう。
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Illustration:Aiko Yamamoto

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