当コラムの読者なら、「Internet(インターネット)」という固有名詞の意味は答えられるはず。それをわざわざ英和辞書で調べたことがあるだろうか? そこで「EXCEED英和辞典」(三省堂)で調べてみると、「Inter・net」という分節であることが分かった。つまり、Internetとは接頭辞「inter-」と「net(ネットワーク)」から成立している言葉なのだ。ちなみに、inter-の意味は以下のとおり。
- inter-
- 間、中、相互
なるほど、internetとは「netとnetの間」すなわち「ネットワークとネットワークを橋渡しするネットワーク」であることが推測できる。事実、internetを「デイリー新語辞典」で調べると、「複数のコンピュータ・ネットワークを相互に接続して、全体として1つのネットワークとして機能するようにしたもの」と書いてあった。
考えてみると、IT英単語には接頭辞inter-を持つものが多い。たとえば、interface(インタフェース)やinteractive(対話式の)、それにinteroperability(相互運用性)といった単語もある。これらの単語は、エンジニアであれば日常的に使うものだが、営業職や事務職などの非エンジニアにとっては「何それ?」というシロモノだ。さて、どう説明したらいいものやら。そんなときは、先ほどのinetrnetのように分節で切ってみるといい。すると……。
- interface(inter・face)=inter(~の間)+face(面)=面と面の間=(コンピュータと人間などが)接する表面
- interactive(inter・active)=inter(相互に)+active(act=行動=の形容詞形)=(人やコンピュータが)相互に働きかける
- interoperability(inter・operability)=inter(~間で)+operability(操作できる余地がある)=異なるハードウェアやシステム間で操作できる
このように、接頭辞の直後の分節で切り分けると、英単語が持つ“具体的な意味”が浮かび上がってくるのだ。
また、inter-と同様に英単語の意味を推測でき、IT関係の英文にもよく出てくる「trans-」という接頭辞がある。trans-の意味は以下のとおり。
- trans-
- ~を越えて、~を通り抜けて、別の場所(状態)へ
たとえば、「TCP/IP」とは「Transmission Control Protocol/Internet Protocol」の略語。そのうちのTransmissionという固有名詞を、分節で切り離してみよう。
- Transmission(trans・mission)=trans(別の場所へ)+mission(送り出すこと)=伝送、伝達
つまりTCPは「(データなどの)伝送の規約」、IPは「ネットワークの相互接続の規約」となる。
このように単語を分節に切り分けて接頭辞の意味に着目すると、IT英単語の意味をより理解できるうえ、初めて見る単語や難解な単語のおおよその意味を推測するガイドにもなる。トラブルの際など、いざというときに英文の書籍を読む機会の多いエンジニアは、覚えておいて損はない。
Illustration:Aiko Yamamoto
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