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8割以上が着手も、進まない日本版SOX法対応の現状――NRIセキュアテクノロジーズの調査から

2007年08月14日 12時52分更新

文● アスキービジネス編集部

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野村総合研究所(NRI)グループのNRIセキュアテクノロジーズが8月2日に発表した、「内部統制に関するアンケート調査結果」。日本版SOX法の適用開始まで10カ月を切った今年6月に行なわれたアンケート調査から見えてきたものとは――。


ミニマム対応で年度内に文書化まで


 アンケートは今年6月9~29日にかけて、郵送で実施された。調査対象は東証1部・2部に上場する企業および従業員数300名以上の非上場企業の計2868社。うち、実際に調査に回答したのは386社で、回収率は13.5%だった。

 アンケートの主な調査結果について見てみると、「ほとんどの企業が着手はしているが、進捗には不満」という各社の日本版SOX法への対応状況が見えてくる。

 まず、「金融商品取引法に基づく『財務報告に係る内部統制の評価』を進めていますか」との問いに対しては、83.7%の企業が「すでに着手している」と回答。「第2四半期に着手する」「第3四半期に着手する」と答えた企業を合わせると、約9割が年内に対応を始めることになる。

8割以上の企業が着手も、多忙でなかなか進まない――各社の日本...
※NRIセキュアテクノロジーズが公表したアンケート結果をもとに作成。

 続く「今年度は最低限どの実施プロセスまで準備を完了させることを目標としていますか」との質問(複数回答)では、「業務プロセスの概要把握」が83.7%でトップ、次いで「全社的な内部統制の評価」(81.7%)、「決算・財務報告に係る業務プロセスの評価」「重要な事業拠点の選定」(いずれも80.8%)などが続く。この結果から、ほとんどの企業では、年度内に文書化もしくは関連文書の評価までは済ませておき、来年度に運用状況の評価や不備の是正などにあたる計画を考えているようだ。

 一方、内部統制の整備にあたっては、どの範囲まで行なうか、自社の方針を明確にする必要があるが、今回の調査結果では、多くの企業がいわゆるミニマム対応を狙っていることが明らかになっている。

 「来年度の金融証券取引法の施行までにどのような方針で臨もうと考えていますか」(複数回答)との問いに対して、74.3%が「評価範囲とする組織や業務プロセス、情報システムは可能な限り絞る」と回答。「評価目的は、財務報告の信頼性確保に絞る」(72.7%)「リスク、統制については可能な限りに重要なものに絞った評価を行なう」(70.9%)などととなっており、「評価目的は、財務報告の信頼性確保だけでなくで広めに設定する」は14.7%、「リスク、統制については可能な限り網羅的な評価を行なう」と答えた企業は14.2%にとどまった。

 国内の先進企業の中には、日本版SOX法対応を機に、全社的な内部統制の構築による企業価値の向上に取り組んでいる企業もある。しかし、今回の調査によると、大半の企業は最低限の対応で済ませたいとの意向を持っているようだ。


課題は「進捗の遅れ」、半数以上が進捗に不満


 日本版SOX法対応を進める上での課題については、進捗の遅れを指摘する企業が多かった。「どのような問題が発生していますか」(複数回答)との質問に対して、46.7%が「関係者が多忙であり、計画どおりに進んでいない」と回答。「プロジェクト体制はできたが、進捗が遅れている」と答えた企業も43.3%いた。

8割以上の企業が着手も、多忙でなかなか進まない――各社の日本...
※NRIセキュアテクノロジーズが公表したアンケート結果をもとに作成。

 関連して「取り組みの進捗に、どの程度満足していますか」(複数回答)との問いには、36.4%が「やや不満である」と答え、「まあ満足している」(35.3%)をわずかに上回った。「やや不満」と「不満」(16.2%)「非常に不満」(4.7%)とを合わせると、57.3%が何らかの形で不満を抱えていることになる。

 日本版SOX法は、実務上のガイドラインとなる実施基準の公表の遅れや、金融庁が公表するとされるQ&A集で、実質的に内容が緩和されるのではないかとの見方もあった。そのため、長らく様子見だった企業も多く、取り組みは全体的に遅れがちといわれている。

 今回の調査結果は、こうした傾向を裏付けるものとなっており、着手はしたもののなかなか作業が前に進まない企業の苦悩する姿を映し出したものといえそうだ。

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