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転職経験あり! 仕事人たちのストーリー 第5回

まったくのパソコン未経験からネットワークソリューション・チーフコンサルタントへ ~IT業界で女性は必ず活躍できる~

2006年08月03日 00時00分更新

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河野美香さん(32) NTTデータ先端技術株式会社 ソリューション事業部 ネットワークソリューションビジネスユニット チーフコンサルタント

河野美香さん(32)
NTTデータ先端技術株式会社
ソリューション事業部
ネットワークソリューションビジネスユニット
チーフコンサルタント

大学卒業後、アプリケーション開発会社を経てインフラ分野でキャリアアップを続ける河野美香さん(32)。現在、NTTデータ先端技術株式会社のネットワークソリューションビジネスユニットで、チーフコンサルタントとしてネットワークシステム構築サービスの提案活動から納品までに携わっている。社会に出るまでパソコンにほとんど触ったこともなかったという彼女は、どのようにしてIT業界でキャリアアップしていったのか。

河野さんの転職成功のポイント
・どんなに多忙な業務のなかでも、新たな知識や技術を得ることを楽しめる
・今の環境がイヤだから転職するのではなく、はっきりとした転職目的と転職後のビジョンを築いて転職活動に臨んだ
・転職後の会社の社風や人間関係、仕事の詳細は、入社してみないと分からない。しかし希望に適う転職をするため、事前の情報収集にできる限り努めた

コンピュータと無縁の生活から一転 アプリケーションを経てインフラへ

 大学で国際文学を学ぶかたわら、夜は専門学校で法律の勉強をしていた河野さん。当時の彼女の目標は、大学院で著作権法を学ぶこと。コンピュータとは無縁の日々を過ごしていたが、あることをきっかけにITに興味を持ち始めた。

「コンピュータに大変興味を持ったのは、大学4年生のときコンピュータやソフトウェアに関係する著作権を勉強することになったことがきっかけでした。そして結局その興味は大きくなり、IT関連の会社に就職することにしたのです。けれどこの時点ではまだ『2~3年ほどコンピュータのことを勉強したら、大学院に進もう』ということも自分の将来の選択肢としてあったように思いますが」

 さっそく河野さんはIT企業に的を絞って就職活動を開始。これまでメールの経験すらなかったが、IT未経験者も受け入れていたアプリケーション開発会社に就職し、Javaプログラミングを行なうことになった。未知の世界に飛び込んだため、ごく初歩的なことから勉強する日々は、好奇心旺盛な彼女にとって新しい発見の毎日で楽しかったという。そのため、積極的に知識や技術を吸収することになり、次第にオブジェクト指向のクラス設計まで手がけるようになった。こうしてアプリケーション開発に携わるうちに3年が経過。当初の予定では「会社を辞めて大学院に進む」時期である。だが、この3年間に河野さんの心境は大きく変化していた。

「コンピュータのことを知れば知るほど、この分野の仕事が楽しくなるんですよ。だから、大学院に行くのは老後の楽しみにして、今は仕事でがんばろうと考えるようになったんです。この3年間でレイヤ7に関しては深く理解できるようになっていました。しかしアプリケーション開発はルーティンワークになってしまうので、常に新しい発見や挑戦ができる仕事に就きたいという気持ちも大きかったですね」

 河野さんは「自分の希望を実現できる仕事とは何か」を考え、最終的にはネットワークインフラに携わるという答えにたどり着いた。自身の転職目的をはっきりさせることができた彼女は、転職エージェントを通じて会社資料を集め、「これだ」と思った数社の面接に臨んだ。面接でインフラに携わりたい理由を明確に伝えた河野さんは、大手ISP関連企業への転職を果たした。

順調なスキルアップの秘訣は旺盛な好奇心と楽観的な思考

 希望する仕事に就いた河野さんだが、インフラに関する業務知識は皆無だった。それでも、次々と仕事を言い渡されたので、周りの人に聞き、技術書などで調べ、納期を気にしながらのトライ&エラーの毎日となった。また、入社時に上司から携帯電話とノートパソコンを手渡され、障害が発生したら、いつどこにいても即座に対応することを求められた。プライベートな時間はなくなり、真夜中であろうと障害に対応した。ときにはデータセンターに泊り込むこともあった。それでも、河野さんは楽しくはあっても、つらいと感じたことはなかったそうだ。

「仕事が多いということは、いろいろなことを経験する機会に恵まれたということですから苦にはなりませんでした。やりたいと思った仕事は何でもやらせてもらえましたし、同僚も親切な方ばかりでした。インフラに関する仕事はOSやサーバの種類が豊富な分、いろいろな作業があり、用途によってさまざまな構築の仕方があります。仕事をすればするほどたくさんのことを経験できるので、新しいことを発見する毎日ですよ」

 持ち前の好奇心も手伝って、河野さんは足早に業務スキルを習得。サーバへのOSインストールを行なっていた入社時から3年で、サーバの要件定義から運用、そしてインフラ全般の提案を行なうまでになった。そんな最中、以前勤めていたアプリケーション開発会社から声をかけられる。『インフラ全般も含んだプロジェクトを請け負ったのだが、インフラのスキルを持つ人材がいないので来てほしい』というのだ。このプロジェクトのためにインフラ部署を新設すると聞いた河野さんは、新しい部署の立ち上げにかかわることに興味を持ち、古巣であるアプリケーション開発会社へ戻る決意をする。ところがこの決断の1年後、結局河野さんはこの会社を退職してしまうことになる。

「入社してから半年ほどプロジェクトが完成するのを待ったのですが、結局は頓挫し、新たなインフラを構築する必要もなくなったからです。社内インフラの面倒を見てほしいと引き止められましたが、新たに吸収することがなく、同じことを繰り返す仕事になるので辞退しました」

 再び転職活動を行なうことになった河野さんは、これまでに仕事を通じてできた知人たちに、インフラ系の各企業の内情を聞いた。会社の社風や人間関係、仕事の内容や進め方の詳細は、入社してみないと分からないことがある。だが、そうした入社前に分からなかったことが原因で会社に馴染めないことは、よくあることだ。3度目の転職となる河野さんは、長く勤められる会社を慎重に選ぼうと、情報収集に努めたのだ。こうして選んだ5社について、転職エージェントを通じて手続きし、3社の面接に望んだ。面接では、自分にどんな経験やスキルがあり、どうしてインフラに携わりたいのか、今後どんなことをやりたいのかを明確に伝えた。

なぜ転職するのかを明確にすれば 自然と具体的な行動をとるようになる

 この転職活動の結果、河野さんはNTTデータ先端技術株式会社に入社することになった。同社を選んだ理由を、彼女はこう話す。

「面接から採用の返事までのレスポンスが良かったからです。レスポンスが悪い企業というのは『こんなことがやりたい』と相談しても、何人もの上司の返事を待たねばならない企業だと思うので、私には向いていないと判断しました。私が入社したNTTデータ先端技術は、設立から日が浅いこともあって、いろいろな部署の人たちと議論したり検討したりしながら仕事ができます。こういう職場環境は、吸収できる物事が多くて楽しいですね」

 河野さんは女性が少ないIT業界で働くことに、力仕事以外はハンディを感じたことはないという。むしろ、お客に顔を覚えられやすかったり、競争することなく男性とも仕事ができるので、得することが多いと感じるそうだ。ほとんどパソコンに触ったこともなかった彼女が、IT業界で確実にキャリアアップを果たしてきたのは、「なぜ転職するのか」を明確にした上で行動したからだ。転職について相談されることも多いという河野さんが語る。

「今の環境がイヤだから転職するのでは、転職後の明確なビジョンを築けず、いい結果を出すのは難しいと思います。まずは自分は何をやりたいのかを明確にすること。そして、それが今の環境では本当にできないのかを良く考えましょう。それから転職を考えても遅くはありません。私が転職エージェントにお願いしたのは、面接を受けたいと思った会社への手続きだけ。やりたいことを実現するために転職するのであれば、どんな会社へ行くのがいいのか、面接でどんなことを話せばいいのか、自然と具体的な行動ができるはずだと思います」

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