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転職経験あり! 仕事人たちのストーリー 第1回

スキルアップと転職成功の秘訣は、 どんな仕事も積極的に取り組むこと

2006年07月06日 00時00分更新

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柴田圭一郎氏(34) 株式会社セプテーニ 情報システム部 マネジャー

柴田圭一郎氏(34)
株式会社セプテーニ
情報システム部 マネジャー

インターネット広告代理店の株式会社セプテーニで、情報システム部マネジャーを務める柴田圭一郎さん(34)。2004年に同社へ転職してきて以来、インフラ営業のサポートや教育から、社内の基幹システムの開発まで、幅広い業務に携わっている。そんな柴田さんに、どのようにして満足する転職ができたのかを聞いた。

柴田圭一郎氏の転職成功のポイント
・面接時に明確な転職理由を提示できた
・継続的なスキル習得、これまでのキャリアを武器にした
・人見知りを営業経験で克服、コミュニケーション能力を身につけた

面接官に率直に伝えたことは、「仕事を追及するため」という転職理由

 柴田さんが、最初にエンジニアになろうと思ったのは、幼稚園児の頃。今は亡き父の影響だという。

「石油販売会社の電子計算室で働いていた父が、ときどき幼い僕を職場に連れて行ってくれたんです。そこで、大仰なコンピュータから出てくる紙テープを読む父の姿を見て、『カッコイイなぁ』とエンジニアに憧れるようになりました」

 やがて柴田さんは、地元・北海道の国立工業高等専門学校を卒業し、大手電機メーカーの子会社に就職。通信機器の開発プログラマとなった。そして3年が過ぎるあたりから、柴田さんの中に「新しい仕事をしたい」という気持ちが沸き上がるようになった。上司に何度も掛け合った結果、希望が通り新設のネットワークビジネス部へ移動。CATV回線を使ったインターネット・インフラ整備のサポート業務に就いた。

「この部署で、システムエンジニアとシステムインテグレータの両方の業務に携わるようになりました。そのほか、顧客のホームページを作成したり、部内ネットワークの管理も任されるようになったり、いろいろな仕事をしましたね。お陰で、さまざまな業務スキルを身に付けられました」

 ところが、柴田さんはこの会社で9年ほど働いた後、03年に転職を決意する。顧客用サーバの選定で、会社側と意見が一致しなかったことが大きな理由だという。また、「もっと多くの人の目に触れる仕事をしてみたい」という希望もあった。そこで、スカウト型の大手転職サイトに登録。Web制作・マーケティング会社から連絡があり、面接に望んだ。

「面接で話す中で、僕は『やりたいことをやらせてくれそうな会社だな』と感じました。そこで、これまでの業務経験から、もっと深くインフラに関わる仕事をしたいと率直に伝えました。また、開発プログラマとしてのスキルがあることも、面接時に話しました」

どんな仕事にも積極的な姿勢が スキル習得と転職成功に繋がる

 面接の結果、柴田さんは転職に成功。先のWeb制作・マーケティング会社で、企業に出向しては社内インフラのシステム構築を行う業務に就いた。これまで柴田さんはWindowsサーバしか携わっていなかったが、同社で仕事をする中で、LinuxやUNIXのインストール業務などにも携わるようになった。

「壁に直面する度にマニュアルや技術書を読み漁り、LinuxやUNIXのインストールに関するスキルを身に付けました。次第にネットワーク設計もやらせてもらったり、顧客アンケートをデータベースに書き込む業務をしながらWeb系言語を覚えたりもしました。『どんな仕事も積極的にやろう』という姿勢が、スキルの早期習得に繋がったと思います」

 この会社に務めて2年目から、柴田さんはインターネット広告代理店の株式会社セプテーニに出向。広告効果の測定ツールの管理をしながら、ウェブマスター代行として同社サーバの管理・監視を行なった。そしていつしか、このサーバ管理・監視が、柴田さんの主業務になる。出向しているうちに営業社員の教育やサポートがセプテーニではできるのではないかと思い始め、それをセプテーニに伝えた。そして、タイミングよくセプテーニでもサーバ管理・監視が行なえる正社員を探していた。

「いろいろな企業に出向して仕事をするうちに、IT関係で考え得る全職種に携わってみたいと思うようになっていました。だから、ウェブマスター代行としての仕事が評価された時は、うれしかったですね。そして、営業社員の教育やサポートを依頼され、これまでとは異なる形でITに関われることも、胸が弾みました。セプテーニの社員になって2年目の今は、営業社員向けの座学を毎月催している一方、社内の基幹システムのリニューアルに向けた開発も行っています」

お客がエンジニアとは限らない 演技してでも円満な仕事を!

 柴田さんは1回目の転職時、それほど多くのスキルを習得してはいなかった。通信機器の開発行程を一通り経験していたことと、ある程度ネットワーク管理の経験と知識があったに過ぎない。だが、「インフラに関わる仕事を追求したい」「いろいろな技術や知識を吸収したい」という積極的な姿勢が評価されたのだ。

「エンジニアは、僕が幼い頃から憧れていた“好きな仕事“。だから、つねに何でも吸収しようという姿勢になっているのでしょう。最初に転職したWeb制作・マーケティング会社は当時、小さなベンチャーでした。社員が少なかったので、エンジニアとして出向しながら、営業の仕事もしました。僕はもともと人見知りする性格だし、技術的な分野で譲れないことがあるとトゲトゲしい態度にもなりました。でも、エンジニアではないお客さんと接する営業職で、そんなことをしていたら仕事になりませんからね」

 柴田さんは、エンジニアのかたわら営業の仕事をしたことが、自身のコミュニケーション能力を高めたと振り返る。現在は、エンジニアの面接官も務めているという彼は、こう語った。

「システム管理だけに携わっていたというエンジニアは、社交性に欠ける人が多いですね。でも、僕らシステム管理者のお客さんは、営業マンです。IT関連の知識に長けているわけでもないし、エンジニア同士なら気にならない言動が許されないことも多々あります。かつて読んだ本に『会社の給料の中には、演技料も含まれている』という一節がありました。働くということは、演技をしてでも円満に進めなくてはならないこともあると、僕は心に刻んでいます。今はだいぶ、自然体になってきましたが(笑)」

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