変化の激しい業界で生き残っていくために
ひとたび起業したならば、変化の激しいIT業界で生き残っていくためにも、IT業界全体の変化を注視しなければならない。中田さんは、IT業界の今後をどう見ているのだろうか。
「新聞などによると、IT業界に限らずいろいろな業界に人材不足が広がっているようです。そしてそれらも影響して、さらにオフ・ショアの利用などによるITに対する投資額の削減が起こっています。これはIT業界にとって大きな転換期であることは事実ですが、私は悲観も楽観もしていません。こういった状況を私は生態史観などで言うところの“棲み分け”がより鮮明になっているのだと思うのです」
では、そのようなの動向の中で、中田さんは業界をどのように生き抜けると考えているのだろうか。
「業界の変革期の中で私どものような小さな会社を継続させていくには、個別の技術ではなく技術を学ぶ技術、つまりメタ技術的なものが重要だと思います。そのメタ技術のフォローする範囲は、たとえば新しい技術の情報をどのように入手するのか? といったことや、その技術を吸収するためのプランやコストの立て方、逆に古くなった技術の廃棄の仕方などです。技術をミクロな視点で捉えるのではなく、マクロで見て、どういうことが重要なのか考えてみるといいのではないでしょうか。これは会社経営にも通じることだと思うのです」
- 中田さんが考える「起業後、会社をうまく運営していくためのポイント
- ・グロスの売り上げよりも、キャッシュの積み上げを意識する。そして、そのキャッシュフローを常に把握する
- ・すぐれた技術やスキルがあってもお客さんがいなければ仕事は成立しない。密で豊かなコミュニケーションをして、お客さんとの関係を積極的に築く
- ・仕事は他者が評価してはじめて仕事として成立する。独りよがりならず、常に評価される仕事を心がける
- ・どんなビジネスも「信用」第一
- ■取材協力
- 合資会社コパリ
第1回 “技術があるから成功する”と思うべからず
第2回 起業という孤独を乗り越えるには
第3回 出資を募るときは“自分の腹の内を見せろ?”
第4回 ITスキルゼロからIT企業設立の不退転
第5回 社内コミュニケーションの重要性と人とのつながりの大切さ
第6回 会社の“規模”とは、どう考えるべきものなのか
第7回 “競争”だけではNG。プロマネの独立に必要な「同業者同士の連携」の発想とは
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