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伊藤理絵の“アフィリエイトの謎” 第13回

素人が1ヵ月で50万稼げる、怪しい“情報商材”の中身とは

2007年08月02日 16時00分更新

文● 伊藤理絵 (アフィリエイト研究家)

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値段はマチマチで、内容も玉石混淆


 こうした販売ページを初めて目にした人は、一様にこう思うでしょう。「怪しすぎる……」と。確かに、あまりにもウマ過ぎる宣伝文句を見ると「本当に効果があるのか」と疑ってしまいますよね。

 情報商材には“お金もうけ”に加えて、“ダイエット/美容”や“恋愛”といったものがあります。これらをまとめて3大ジャンルと言ってもいいでしょう。Wordなどで作った書類をPDFとして書き出しただけのものなので、紙代が必ずかかる書籍などに比べて、制作コストも圧倒的に低いはずです。

 内容の良し悪しは、ほぼ100%制作者の能力に依存します。もちろん値段も製作者の思いどおり。インターネットには、こうした情報商材を専門に扱うアフィリエイトサービスプロバイダーも存在し、簡単に誰でも販売できるようになっています。

 私が興味本位で購入してみた商財は、例えばウケるブログの作り方や、SEO攻略法といった内容でした。品質については玉石混合で、目からウロコの良書もあれば、中には「なんだこれは!?」というゴミ商材もあったりします。結局、価格に対して満足できるかどうかは、個人の価値観によるのでしょう。



マイナスの側面はあるが


 そんな情報商材ですが、スパム行為が目立つために、一般には嫌われています。アフィリ業界では、メールやトラックバックなどを利用して、“数撃ちゃ当たる”的な手法が大流行したため、そういった迷惑を被ったブロガーや一般のユーザーは怒り心頭に発しているようです(参考記事)。さらに、販売ページだけは説得力がありそうなのに、中身のない“ハズレ”な情報商材を購入した人も、相当な悪印象を持っているでしょう(笑)。

 とまあ、圧倒的に倦厭される場合が多いものなのですが、私見を言わせてもらえば、実はすごく革新的な出来事ではないでしょうか。

 インターネット上でPDF書類を販売することは“情報販売”と言われていますが、考えてみれば、出版社が雑誌や書籍で売っているのも“情報”ですよね。一部の情報販売者の中には、出版社名や雑誌名に相当する“確固たる看板”(ブランド力)を持つ作者も登場しています。



新しい出版のあり方とも考えられる


 これまで、文字情報を伝えるメディアの主流は紙でした。しかし、印刷にはコストがかかります。さらに作った印刷物を世に広めるためには、流通業者(書店に並べてもらうなら“取次ぎ”)を通さなければならない場合がほとんどです。つまり、個人が出版事業に参入するのは困難でした。

 しかし技術の進歩によって、状況が変わりました。極端な話、個人でも能力さえあれば、企業にも対抗できるような内容のパブリッシングができるというのは面白い話です。

 新しい文化、新しいシステムができ上がる瞬間は、得てして荒っぽい波乱が起きるものです。あまりに過剰な(スパム的な)宣伝行為や、明かに価格と不釣り合いな(詐欺的な)商品が出てくるのは困りものですが、こういったものの中から悪弊が自然と淘汰され、新しい情報流通のあり方が生まれてくる可能性もゼロではないでしょう。


筆者紹介──伊藤理絵


フリーライター。個人でもネットで気軽に稼げるオイシイ話を24時間体制でウォッチング。自分でも参入できそうな話があれば是非あやかりたいと業界事情にだけは詳しくなりましたが、本業が忙しくてなかなか実行に移せない毎日です。



*次回は8月8日掲載予定

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