デジタル制作の現場で使われているツールは?
クロージングセレモニー終了後に受賞者記者会見が行なわれた。受賞した短編部門の外山監督、川口監督、阿曽監督、鈴木監督、長編部門のエルユルマズ氏、シャヒノビッチ氏、シュタッケ監督、ラスムセン監督、ウィケ監督、ギブソン監督が出席し、それぞれが受賞の喜びを語った後で、Q&Aが行なわれた。
Q&Aでは、フィルムとデジタルの違いについて質問があった。ヨーロッパの監督は35mmフィルムへのオマージュが深くありつつも、デジタルは未来のものだという認識を持っていた。デジタルの弊害として、ヨーロッパではまだまだデジタルで上映できる環境を備えた映画館が圧倒的に少なく、デジタルで制作した参加作品を今回、はじめて“デジタル”(4Kシネマ)で見た、という監督も多かった。シャヒノビッチ氏は「ヨーロッパではデジタルで制作した作品を 35mmへ変換することがビッグビジネスになっています」とし、シュタッケ監督は「フィルムへの変換にロンドンやデンマークなど、あちこちに出したがいずれもまったく違った仕上がりで困りました」と、ヨーロッパの状況を示した。外山監督は「日本ではフィルムが高価なのでコストの問題が生じます。デジタルのシアターがもっと増えるといいと思います」と語った。
活用したデジタルツールについての質問に対しては、シャヒノビッチ氏、シュタッケ監督、外山監督がソニーの“HDCAM”『CineAlta HDW-F900』を使用していたとコメントした。また、シュタッケ監督は「CGIは専門担当に任せたのであまりわかりませんが、グリーンバックを使って独創的なビジュアルスタイルができたと思います」と語った。また、シャヒノビッチ氏は『Final Cut Pro』や『Motion』を使ったとコメントした。手描きにアニメ加えた独特の映像を制作した鈴木監督は、手描きしたものをスキャンし、『Adobe Photoshop』などで加工して、『Adobe AfterEffects』も仕上げに使ったとした。CGアニメを制作したあかね丸の2人は、『3ds max』やAdobe Photoshop、Adobe AfterEffects、『Adobe Illustrator』も使ったとした。
