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デジタル制作は普及しても、デジタルシアターはまだまだ

短編・長編コンペ受賞作はトルコと赤羽から!――IDCF2007授賞式レポート

2007年07月27日 20時30分更新

文● 千葉英寿

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埼玉・川口市の“SKIP(Saitama Kawaguchi Intelligent Park)シティ”において、今月14日から22日までの9日間にわたって開催された“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007”(IDCF2007)が最終日を迎え、クロージングセレモニーが行なわれた。セレモニーでは、短編コンペティション部門、長編コンペティション部門の各賞が決定し、表彰されたほか、クロージングセレモニー終了後には受賞監督らの記者会見が行なわれた。

市民によるイベントも行なわれたSKIPシティ
会場となったSKIPシティでは、市民によるさまざまイベントも行なわれていた

開会に際して、映画祭実行委員会会長の上田清司埼玉県知事が挨拶に立ち、「いずれもデジタル技術を駆使し、みずみずしい感性で制作された作品ばかりだと思いました。SKIPシティの利用者も200万人を超えており、今後ますます映画関連産業の拠点として発展し、映画産業を盛り上げていきたいと思います」と語った。

続いて短編部門の各賞が、映画祭実行委員会副会長の岡村幸四郎川口市長により発表され、短編部門審査委員長を務めた俳優の高嶋政伸氏よりトロフィーと副賞が手渡された。結果は以下の通り(表中敬称略)。



■短編部門(国内コンペティション)


最優秀作品賞
レッツゴー番長デッドオアアライブ完全版”(2006年/26分)
監督:鈴木 専
川口市民賞:トロフィー、副賞(賞金100万円)
奨励賞
星屑夜曲”(2006年/59分)
監督:外山文治(そとやま・ぶんじ)
川口市民賞: トロフィー、副賞(賞金50万円)
奨励賞
あかね雲―初恋―”(2007年/26分)
監督:あかね丸(阿曽多寿子、川口鉄也)
川口市民賞:トロフィー、副賞(賞金50万円)

外山文治監督 外山文治監督。「実写代表として、アニメには負けていられないと思いました」

星屑夜曲”で奨励賞を受賞した外山監督は、「受賞に驚いています。映画や映画を作ることには夢がたくさんつまっていると思います。楽しいだけの映画ではありませんが、選んでくださってありがとうございました。昨年は一観客として客席にいて、僕も作りたいと思っていました。この場に立てて夢のようです」と語った。実は外山監督の本職はライターであり、今回が初監督作品ということだ。受賞式後に「もう(監督は)やめられませんね」と喜びを表現していた。

川口鉄也監督と阿曽多寿子監督 あかね丸のお二人。川口鉄也監督(左)は「上映中、笑っていただけてうれしかったです。海外の方は笑いのツボが違うのもわかりました」と語り、阿曽多寿子監督(右)は「CGアニメが映画として見て頂けたのが感慨深いです」と語った

また、同じく奨励賞を受賞した“あかね雲―初恋―”は、2004年文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で奨励賞を受賞したデジタルハリウッド卒業制作作品のリテイクで、話を膨らませた内容になっている。あかね丸の阿曽監督は、緊張ぎみに「受賞できるとは思ってもいなかったので、何を言えばいいのか考えていませんでした。制作していたころには、徹夜が続いたり、お風呂にも入れなかったり、と大変でしたが、楽しみながら作りました」と語ると、パートナーを組む川口監督は「みんなに思いが伝わるように作りました。それがちゃんと伝わればうれしいです。……何か面白いことを言おうと思っていたのですが、緊張してしまいますね。ありがとうございました」と語った。

鈴木 専監督 鈴木 専監督。「普段から実写を見る事が多いのですが、映画が見れて、賞までいただけて、うれしいです。もっとたくさん見に来ればいいのにと思いました」

最優秀作品賞の“レッツゴー番長デッドオアアライブ完全版”は第5回東京アニメアワードで特別賞を受賞した作品のリテイク。鈴木監督は「映画祭の間に海外の方とかたくさんの監督と知り合いになれて、その上、賞金までもらえて。隣の赤羽なので(著者注:赤羽は開催市・川口の隣駅)、近くに住んでいて本当によかったです。ありがとうございます」と、うれしさを隠しきれずに興奮気味で語った。そして、高嶋審査委員長の方を見ながら、「もう“姉さん事件です”です!』といたずらっぽい笑顔で締めくくった。

高嶋審査委員長 「作品からクリエイターの情熱とやる気が感じられ、いい気分で1ヵ月を過ごすことができました」と高嶋審査委員長

最後に総評として、高嶋審査委員長が次のように語った。「“星屑夜曲”、“あかね雲―初恋―”は、制作の過程が見えてくるような作品だと思いました。“レッツゴー番長~”は、最初は普通で、仕上げは個性派という感じ。監督の絵の力と意欲があったからこそ、ありがちな世界を壊した独創的な作品になったと思います」。

最優秀作品賞を受賞した“レッツゴー番長~”、奨励賞の“あかね雲~”はともに制作手法は違うが、いずれもアニメーション作品だ。“レッツゴー番長~”は手描きアニメをデジタルで処理、編集したもので、奨励賞の“あかね雲~”はフル3DCGで制作されている。いずれもリテイク作品であり、アニメに詳しい人にとっては若干、新鮮味にかけるかもしれない。11本のノミネート作品に選ばれたアニメ2作品がともに受賞する形となったのは、アニメ大国・日本らしいと言えば、そのとおりだが、デジタルシネマと掲げているところに実写の入賞が1作品というのは寂しい限りだ。実写唯一の入賞となった外山監督は「実写代表として(アニメには)負けていられませんね」と語っており、次回はアニメばかりでなく実写組の盛り返しにも期待したいところだ。

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