高齢者へのパソコンの普及を目的に活動するボランティア団体“コンピューターおばあちゃんの会”は26日、パソコンを使ったさまざまな遊びを体験できる高齢者向けのカフェ“すがもパソコン茶屋 Supported by intel”を東京・巣鴨で開店した。協賛はインテル(株)。今月29日までの期間限定で運営する。
“コンピューターおばあちゃんの会”は、1996年に発足した高齢者によるパソコンサークル。会員数は全国で約200名。パソコンを高齢者の自立を助ける道具としてとらえ、1ヵ月に4回程度パソコン教室を実施して、絵を描く、曲を作る、パソコンでテレビ電話を使う、などの活動を行なっているという。
パソコンを使ったイラスト作成や作曲を体験
すがもパソコン茶屋は、店内に設置されたパソコンで絵を描いたり、作曲ソフトで曲を入力して音楽を鳴らしたり、写真をレタッチするなどといった遊びが体験できるもの。それにあたって、パソコンが分からない高齢者のために、“コンピューターおばあちゃんの会”の会員が手ほどきをするという。“コンピューターおばあちゃんの会”の会員によるパソコン体験は1日2回、各1時間ずつのみだが、会員がいないときは店内の相談員がガイドしてくれるとのこと。また、店内の大型ディスプレーでは“コンピューターおばあちゃんの会”の会員がパソコンで制作したイラストなどの作品展示も実施される。
また、インテルが今月3日に発表したシニア向けパソコンのガイドラインに基づいて製作されたPBJ(株)のタブレット型パソコン『Slate(スレート) DT』(関連記事)が複数台設置されており、ネットサーフィンやテレビ電話も体験できる。さらに、インテルのロゴ入りどら焼きやお茶の無料サービスも実施する(どら焼きは1人につき1個まで、先着100名限定)。
インテルでは、すがもパソコン茶屋の開店期間中、“シニア向けPCサポートサービス”を試験的に導入するという。具体的には、テレビ電話で同社の相談員がパソコンに関する相談に答える“テレビ電話サポートサービス”を実施すると同時に、同茶屋内にパソコンやインターネットに関する質問に答える“おたすけ相談員”を配置する。
インテルの広報担当者に、同社が今回のイベントに協賛することになった理由を尋ねたところ、「高齢者やパソコンに不慣れな人にパソコンを普及させるプロジェクトを進めていたインテルが、同じような活動をしている“コンピューターおばあちゃんの会”の存在を知り、意気投合して一緒に何かやろうということになった。そこで、夏ということで高校生の文化祭のようなイベントを開催したら面白いのではないかということになり、喫茶店を開店しようということになった」との回答があった。また、すがもパソコン茶屋が4日間の期間限定での開催となった理由については、ガイドを務める“コンピューターおばあちゃんの会”会員の体力的な問題があるとした。すがもパソコン茶屋を手伝う会員は15名ほどで、しかも全員が高齢者であるため(全会員の平均年齢は76歳)、ローテーションを組んでも4日間が限界であったという。
オープニングセレモニーには
インテルの吉田社長も登場
開店に先立って行なわれたオープニングセレモニーには、“コンピューターおばあちゃんの会”代表の大川加世子(おおかわかよこ)氏と、インテル 代表取締役共同社長の吉田和正(よしだかずまさ)氏が出席した。
はじめに大川氏が登壇し、「私たちは“おばあちゃんがパソコンなんて、するわけないでしょ”と言われながら、パソコンと愉快に二人三脚ですごして来た。すがもパソコン茶屋では、“コンピューターおばあちゃんの会”の会員と一緒に“パソコンって難しいんじゃないか”と迷っていらっしゃる方の背中をちょっと押したいと思っている」と挨拶した。
続いて吉田氏が挨拶し、「すがもパソコン茶屋には新しい技術が満載の製品が入っているが、使いやすさや安全性には工夫がしてある。これらを体験して、触っていただいて、難しいといわれていたパソコンやインターネットはこんなに簡単に生活に組み込めるんだ、と評価してもらえることを期待している」と述べた。