“夕凪の街桜の国”の田中麗奈さんの熱演に来場者も感激!!

デジタルシネマもHD化が急速に進む――IDCF2007レポート

2007年07月21日 17時11分更新

文● 千葉英寿

埼玉・川口市のSKIP(Saitama Kawaguchi Intelligent Park)シティにおいて14日、デジタルシネマ専門の映画祭として世界的にも知られるようになった“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007”(IDCF2007)が開幕した。今年で4回目を数える今回は、参加国が69ヵ国となり、“東京国際映画祭”の参加国数を超えて、デジタルシネマの世界的な普及を知らしめた。主催は埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会。ソニー(株)、ソニーマーケティング(株)、ソニーピーシーエル(株)(ソニーPCL)などが協賛している。

69ヵ国から433作品がノミネートされた
国際コンペの長編部門

4回目となったIDCF2007。あいにくの雨だったが会場は満席の大盛況となった

IDCFは、デジタルで撮影・制作され、デジタル方式で上映できる映像作品を集めた映画祭。“長編部門”(国際コンペティション)は世界中から、“短編部門”(国内コンペティション)は国内の新進クリエイターから、それぞれ優秀な作品を評価、選出して、グランプリを決するというもの。今年は長編部門が69ヵ国433本、短編部門には328本の応募があり、その中から長編12本、短編11本がノミネートされた。

作品の傾向としては、「フォーマットはこれまではDV(SD)が多かったのですが、HDがスタンダードに」(ディレクターの瀧沢裕二氏)なってきており、デジタルシネマの普及が日本に限らず世界的に進んできていることがわかる。これまでの撮影手法と比較しても圧倒的にコストが押さえられるデジタルシネマは、これまで映画を制作するのが容易ではなかったような地域・環境にも普及し始めている。

その現われとして、長編ノミネート作品には、ボスニア・ヘルツェゴビナで初めてのデジタルシネマ作品として制作された“空からの贈りもの”が参加している。さらにフィリピンや南アフリカのように、今回初参加の国が増えているのも、デジタルビデオカメラとパソコンさえあれば一定の制作が行なえるというデジタル・シネマの普及の“たまもの”だろう。これとは対象的に、国内クリエイターを対象とした短編ではDVが主流となっており、アニメーションが2作品ノミネートされているのも、今年の大きな特徴と言えるだろう。

ノミネート作品は以下の通り。なお、キャプション部分は日本語タイトル/監督/製作年/製作国/分数/撮影フォーマットの順で記述している(敬称略)。