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車でGO!から、電車でGO!へ!?

ヤマダVSビックの量販店戦争勃発! 文字通り“嵐の前の池袋”で、編集者が見たものは?

2007年07月17日 15時30分更新

文● 遠藤諭

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この数年間、破竹の勢いで成長するヤマダ電機


 IT&家電ビジネスによると、売上高を因数分解することで“売上高=客単価×客数”という式が導かれる。

 さらに客単価に関しては、“客単価=動線の距離×立寄率×視認率×買上率×買上点数×商品坦懐”という関係になるという。立寄率とは、聞きなれない言葉だと思う。AV売り場で、編集部のQくんがスタスタと歩み寄ったのは、ちょっと珍しい真空管アンプだった。立寄率のためのエサがちゃんとばらまかれていたわけだ。

真空管アンプ

iPod売り場にあった、ちょっと珍しい真空管アンプ(編集注:アンプはラディウス、スピーカはクリプシュですね、そんなに珍しくはないかも……)

 同誌によると、1997年度の量販店のランキングデータでは、店舗数でコジマが198に対して、ヤマダは109だった。売り上げも、コジマ、ヨドバシ、ヤマダの順だったという。それが、2002年には総合ディスカウントストアーのダイクマを買収。LABI池袋店でも法人コーナーが充実しているのを見ても分かるとおり、ヤマダは企業へのアプローチも怠っていない(パソコン業界の方ならご存知かと思うが)。いまや、ヤマダ電機の売り上げは1兆4436億円(2007年3月期)、2位エディオンの約2倍という数値をたたき出している。

 今回のLABI池袋店は、着実に国盗りを進めてきた必勝手のバリエーションなのか、それとも世紀の愚手なのか? ちなみに、今回の取材に参加したQくんは、毎日池袋駅を利用しているという“クロート”、Nくんは大学が池袋だったそうで“卒業生”。私は、中国食材店や映画館くらいにしか行かない“シロート”である。

 そこで、北口平和通りの中国東北料理店『永利』で、今回のヤマダの首都侵攻作戦について議論してみた。

永利

永利のメニューから。豚の骨とか、マトンの餃子、空心菜のにんにく炒め、カタヤキそばとか。ここは酢豚もオススメです



モンスーンの池袋で考えたこと


 「消費者は往復の移動時間にかけたのとほぼ同程度の時間を目的の店舗で過ごす」と野村総研の『知的資産創造』(2006年8月号)は指摘しているそうだ。

 IT&家電ビジネスでも、ヤマダ電機の“超大型店旋風”をこの視点から検討している。たしかに、近くのコンビニはサッと行ってサッと帰ってくる。ヤマダ電機は、1時間かけて行けば、1時間くらいは遊んでくるかもしれない。しかし、この法則が成立するのも、日本は郊外や地方のほうが絶大なボリュームを持っているというだけではないか? ヤマダに来店ポイントという制度があるのもわざわざ出かけるからである。かつて「農協は東京より大きい」と言った人がいた。

 そんなことを考えていると、今回のヤマダの池袋進出は、“郊外や地方”の都市への浸食のようにも見えてくる。映画『下妻物語』みたいな、“ジャージで暮らしジャージのまま死んでいくような”(同作品中のナレーション)、日本列島に蔓延している消費文化。それを生み出している郊外型量販というものの実力が試される。少子化時代を前に地方は切り捨てられ、都市部しか生き残れないという読みがあるのかもしれない。Qくんは、品揃えにビックとの違いはないかを見ていた。Nくんは、フツーにコンピュータ書籍を買いに来たみたいだが、取り扱っていなかった。そして、私は、開店記念のパソコン便利キット(税別980円)を買ったのだった。

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