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スピーカーとiPodで試聴した

本当に高音質? iTunes Plusを聴き比べる (後編)

2007年07月13日 19時20分更新

文● 榎本涼

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iPodで聴いた試聴結果


一方iPodで聴いた結果は確かに同傾向だが以下のようになる:

曲名 128kbps AAC 256kbps AAC
Granuaile's Dance 冒頭のシンセなどが解像度が落ちたような荒っぽい音になる。高域が落ち、その分フィドルなどのニュアンスが平坦になってしまう印象。 ほとんどWAVEファイルとの差が分からない。
Beyond
the Sea
ヴォーカルに艶がない。全体的に高域が失われた印象で、そのぶん、感動的な残響感が減っている。ただし、BM-6Aの時ほど極端には感じない。 ほとんどWAVEファイルとの差が分からない。
Cello Suite #1 Prelude チェロの倍音の落ち込みはBM-6Aほどではないが、存在する。残響も大幅に減り、妙に生々しい雰囲気。心なしかダイナミクスも減って聞こえる。録音時の床をこする音なども聞こえなくなってしまう。 同じマスターではないかも知れないので、断定はできないが、WAVEファイルと比べて多少高域とダイナミクスが落ちる印象。弦をこすった音や倍音など、全体的に音質というよりはディテールに劣る印象。
For You ヴォーカルが多少引っ込んだ印象。右のトライアングルが多少こもり気味だが、WAVEとさほど変わらず許容範囲。 WAVEとさほど変わらない。ほんの少しこもった感じか。
タイム・リミット ややこもって聞こえる。スネアの音など顕著。そのほかも残響が減って、妙に生々しくなる。 WAVEとほとんど変わらない。
Donna Lee 右のライドシンバルがくすんだ音色はそれほど気にならない。ハイハットのアタックがつぶれてしまい、ビートが分かりにくくなっている。 多少ライドシンバルの高域にロスがあるが、ほとんど気にならない。

iPodで聴くと、128kbpsと256kbpsの差は小さくなる印象だ。低周波再生を重視したヘッドホン『ER-4P』を使用していることもあるが、スピーカードライバーと耳の距離が非常に短く、つまり空気中で増幅される倍音が少ないことも理由だと考えられる。

この試聴結果より以下の結論が導き出せる。

高品位なスピーカー環境ではエンコード品質の差ははっきり分かるが、256kbpsとWAVEの差は非常に小さい。そのため128kbpsという圧縮品質の低さからiTunesでの購入をためらっていたユーザーにも256kbps AACのiTunesPlusはお勧めできる。

ただし、iPod再生やiPod+ポータブルスピーカー再生がメインの場合は、128kbpsでもこのような差はほとんど感じないのではないか。特に最近のJ-Popなどではその差は縮まるため、現状のiTunes Storeの品質でもあまり気にならない。


(次ページに続く)

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