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開発者インタビュー

原点に戻った新しいウォークマン“ウォークマンA”

2007年07月13日 11時10分更新

文● 山本雅史 構成●編集部

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3月に発表されたソニー(株)の“ウォークマンA NW-A800”シリーズ(関連記事)は、“高音質”というオーディオプレーヤー上位機種に求められる基本的な要件に加えて、ビデオ再生機能が追加されている。
本稿では、ウォークマンAシリーズの製品化に携わった木野内 敬氏(きのうち たかし 同社オーディオ事業本部 統合商品企画MK部門 商品企画MK2部 企画1課 プロダクトプロデューサー)と細萱 則文氏(ほそがや のりふみ 同社オーディオ事業本部 第4ビジネス部門 PD商品設計部1課 エンジニアリングマネージャー)に、ウォークマンAシリーズのコンセプトや音質へのこだわりを聞いた。

お詫びと訂正:掲載当初、細萱氏のふりがなを“ほそがい”と記載していましたが、正しくは“ほそがや”でした。また、木野内氏の部署名に古い名称を記載していましたので、現在の部署名に訂正しました。お詫びいたします。(2007年7月13日)

ウォークマンA
ビデオ再生機能も備えたソニー“ウォークマンA”(写真は『NW-A805』)

“持ち歩けるプレーヤー”であることがウォークマンであるゆえん

―― ウォークマンAシリーズに対しての、ユーザーの評判はいかがですか?

木野内敬氏と細萱則文氏
ウォークマンAシリーズの製品化に携わった木野内敬氏(左)と細萱則文氏

木野内 こちらが思っていたよりも、販売店様やユーザー様から高い評価をいただいています。特に今回の製品が高い評価をいただいたのは、ウォークマンとして、基本に当たる音質の完成度が高いということです。我々も基本に立ち返り、ウォークマンとしての音の良さを追求しました。
また、Aシリーズは以前の製品に比べると、格段に操作性がよくなっています。こういった基本機能がしっかりした上に、高画質なビデオの再生という新しい機能を用意しました。

―― そのビデオ機能についてですが、ウォークマンAのビデオ機能は、どういったコンセプトで開発したのでしょう。

木野内 ウォークマンという名称をつけているため、音質に関しては、非常に高いクオリティーを出せるように設計しています。こうしたベースの上にビデオ再生という機能を付け加えました。付け加えたというと、“おまけ”のようなイメージを受けるかもしれませんが、開発側の意気込みとしては、高画質のビデオ再生ができるプレーヤーとして設計しています。ビデオは音声と映像の両方が高いクオリティーになってこそ、十分に楽しめるようになると思うのです。

細萱 実際Aシリーズには、オーディオ再生だけに利用するには、十分すぎるほどのプロセッサーを搭載しています。これを利用して、H.264/AVCなどの映像再生を行なっています。逆に言えば、高いクオリティーを持つ映像を再生するには、これだけのプロセッサーが必要になったということです。

―― ビデオ再生機能を考えると、見やすさを考えて液晶画面をより大きくしたり、長時間再生できるようにHDDを搭載するという案はありませんでしたか。

木野内 確かに、そういった考え方もありました。でも、そこまで大きくしてしまうと重くて持ちにくいため、あまりユーザーに使ってもらえない。今までに発売されている“ポータブルビデオプレーヤー”というジャンルの製品は、多くのユーザーに受け入れられたわけではない。だからこそ、多くのユーザーに使ってもらえるビデオプレーヤーとしてAシリーズは設計されています。

―― せっかく液晶ディスプレーも奇麗になったので、ビデオを見ることを考えると、もう少し大きくてもよかったかと思いますが。

木野内敬氏

木野内 確かに開発中に、スタッフで意見が分かれた部分ですね。ビデオを見ることを考えて、「もう少し大きくてもいいのでは」という意見もありました。でも、今回はサイズを優先して考えました。
電車の中で吊革につかまりながら、重量のあるポータブルビデオプレーヤーを片手で持つのは結構しんどいですが、Aシリーズなら大丈夫です。個人的にも、携帯電話機と同じサイズのモノをもうひとつ持ちたくはない、と感じていました。液晶ディスプレーを大きくして2つ折り携帯電話ぐらいのサイズになるなら、むしろ携帯電話にビデオ機能を入れたほうがいいのでのでは? と思います。やはり、専用機には専用機としての利点がないとダメでしょう。
また、Aシリーズはビデオ機能を備えていますが、あくまで“オーディオプレーヤーとして利用される時間が多い製品”と位置づけています。ユーザーによって使い方は異なるのでしょうが、ベースとなるオーディオプレーヤーの機能を削って、サイズを大きくしようという考え方はありませんでした。ウォークマンのコンセプトの中心である「プレーヤーを持って歩けるサイズ」という点からは、逸脱したくなかったのです。これこそが、ウォークマンがウォークマンたるゆえんでしょうから。

細萱則文氏

細萱 本体サイズは小さくて薄くてしも(厚みは8mm)、できるだけ大きな2インチQVGA(320×240)液晶パネルを採用しています。重量も約53gですから、HDDを搭載したポータブルビデオプレーヤーとはまったく違った製品といえるでしょう。

―― 以前のウォークマンA(2005年発表のウォークマンA、関連記事)ではHDDを採用していましたが、HDDを使ったモデルは今後も登場するのでしょうか。

木野内 現在では、HDD採用のウォークマンは考えていません。フラッシュメモリーは年々容量が倍増していくため、20~30GBといった容量なら、2007年内か2008年にはフラッシュメモリーでカバーできるようになります。音楽中心に考えれば、数10GBあれば十分な容量でしょう。
ビデオを考えるとそれでも足りないような気もしますが、現在のQVGA解像度くらいなら、ある程度の数を保存することもできます。ですので、HDD搭載ウォークマンというコンセプトは当面ありません。

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