どっかで見たような車が、やはり……
4月に上海モーターショーが開催された際には、いくつかの日本メディアの記事で、中国メーカー製の自動車の一部が、外国車によく似たパチモノ車であることが報じられた。雲南の昆明は国際都市上海に比べれば、外国の眼が光っていないこともあり、さらにパチモノっぽい車を遠慮なしに展示するのではないかと期待して会場入りしてみた。その結果は“あいかわらず”だった!
過去の上海モーターショーのレポートを見ると、著作権を意識するようになったここ数年では特に、意匠の問題を考慮して「前から見ればある車にそっくりで、後ろから見れば別の車にそっくり!」なんていう”オリジナリティー”を出した車もあると聞くが、展示会に出席してみるとビックリ! なんと、日本車そっくりのデザインの車が、中国企業から出展されていた!!
実は、ゼロからのコピーというわけではない!?
こういう製品が成立してしまう背景として、そもそも中国で車を売ろうとする場合は、中国の自動車メーカーと合弁企業でリリースする必要があるという背景があり、そのため産業スパイとかを利用せずとも、合弁関係にある中国の車メーカーが、ノウハウや金型をそのまま得られてしまうのだ。
同じものを作るだけなら、作るための材料はそろっている。人のふんどしで相撲を取るか否かは、企業のトップがパチモノを生産することに対して「どのような考えを持っているか」「生産をすることに抵抗があるのか、ないのか」で決まる。
そしてまたご存知の通り、中国では車に限らずほかの製品ジャンルでもパチモノが当たり前のようにある生活環境である。そっくり車が当たり前のように生産されるのではないだろうか。
トヨタと合弁企業を出している天津一汽がトヨタのヴィッツ、プラッツ、RAV4のそっくりさんをリリースしていること、同じくマツダと合弁企業を出していた海馬がマツダ車のそっくりさんをリリースしているという結果が、まさに僕ら日本人に、中国の車の生産事情を物語っていると言えよう。