しっかりとしたレンズ性能
実際に手に取ってみると、単3形電池×2本構成ということもあり最近のリチウムイオン充電池使用のコンパクト機と比べるとやや重い印象があるものの、アルカリ乾電池でも十分な時間(枚数)を撮れるのは入門機としては重要な要素だ。モードダイヤルの操作やメニューなどもきびきびとしていて操作感はけっして悪くはないが、2.5インチと比較的大きめにもかかわらず従来機と同様の11万5000画素のままの液晶ディスプレーは、やはり粗く見えてしまう。安価な入門機とはいえ、撮像素子を高画素化するのであれば表示デバイス側にも相応に手を入れてほしいところではある。
画質は非常にしっかりとした描写となっており、細部から周辺描写に関してもかなり正しく描かれている。これは広角端が39mm相当と、それほど広角を無理していないレンズ設計を採用したことも大きいのだろう。ハニカム配列で有効903万画素の解像感も悪くなく、ややシャープネスがきつい印象と、明部/暗部のコントラストが強い感があるもののコンパクト機としてはかなり良好だ。また、AE(自動露出)、AWB(自動ホワイトバランス)がかなり正確なのはFinePixならではで、意図的に露出補正やホワイトバランスをいじらなくてもほとんどのシーンでは十分きれいに写る(とはいえやはり操作したほうがいいケースもあるが)。
表面の鏡面仕上げ風デザインなどはいかにも安っぽく見えてしまい、前述の11万5000画素液晶パネルや320×240ドット(30fps)の動画撮影機能など、全体的には低価格機という印象が否めない。とはいえ、“超簡単”、それも各種のメニュー操作が分かりやすいというレベルではなく細かな設定自体をできるだけなくしてオートに徹するという方向性は入門・普及モデルとしてのひとつの方向性であり、細かな操作なしに(フルオートで撮っても十分な)AE/AWB性能、なにより低価格モデルとは思えないほどきっちりした画質などは高く評価したい。
FinePix A900の主なスペック | |
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製品名 | FinePix A900 |
撮像素子 | 1/1.6インチ有効903万画素スーパーCCDハニカムHR |
レンズ | 光学4倍ズーム、f=8.8~35.2mm(35mmフィルムカメラ換算時:39~156mm相当)、F2.9~6.3 |
静止画撮影 | 最大3488×2616ドット |
ISO感度 | オート、ISO 100/200/400/800 |
動画撮影 | 320×240ドット、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.5インチTFT、約11万5000画素 |
記録メディア | 内蔵約10MBフラッシュメモリー&SDカード/xDピクチャーカード(デュアル対応スロット) |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力、DC入力(ACアダプター別売) |
電源 | 単3形乾電池2本(アルカリ乾電池、ニッケル水素充電池対応) |
撮影可能枚数 | 約100枚(アルカリ乾電池、CIPA規格準拠)もしくは約350枚(ニッケル水素充電池) |
本体サイズ | 97.3(W)×32.1(D)×61.7(H)mm |
重さ | 約156g(本体のみ)もしくは約204g(電池、メモリーカード含む) |