このページの本文へ

日本オラクル、ID管理ソリューションの導入支援で米セナ・システムズと協業

2007年06月27日 21時44分更新

文● 渡邉利和

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本オラクルは6月27日、米セナ・システムズとID管理製品群「Oracle Identity Management」の導入支援で協業すると発表した。


海外の金融機関で豊富な実績を持つセナ・システムズ


 今回の発表は、日本オラクルのID管理ビジネスに関する取り組みとして4月24日に発表された内容(関連記事)を受けたもの。4月24日の段階で、「海外のトップコンサルティングファームと提携してノウハウを日本に移入する」方針が発表されたが、その時点ではコンサルティングファームの名前は伏せられていた。今回発表された米セナ・システムズとの協業は、このとき伏せられたコンサルティングファーム名の発表だといえる。

日本オラクル、ID管理ソリューションの 導入支援で米セナ・シス...

日本オラクル常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏

 登壇した日本オラクル常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏は、日本版SOX法対応の準備作業の過程で、ID管理体制が未整備である点を監査法人などから指摘される例があると指摘。「日本版SOX法が直接ID管理を要求しているわけではないが、ID管理を充実させることは対応上重要になる」との認識を示した。

 一方、国内にはまだ大規模なID管理システムの導入事例が少ないことから、インテグレータ/ユーザーともに経験が浅い点を課題とした。同氏によると、経験の浅い段階で導入プロジェクトを開始すると、システムへの過大な期待から仕様がいたずらに膨らんでしまい、結果としてプロジェクトが失敗に終わるリスクが高まるという。

 これを避けるためには、スコーピングを明確にし、曖昧さを排した要件定義を行なうことが重要だと指摘する。「スコーピングが不明確だと、過大に膨らんだ要求仕様を“たたみきれず”、インテグレータとしては赤字プロジェクトに陥ることになる」(三澤氏)。こうした事態を避けるために、経験豊富な海外コンサルティングファームのノウハウを日本に持ち込むことが重要視され、それが今回の協業に繋がっている。

 三澤氏に続いて、米セナ・システムズの創業者であり、エグゼクティブ・チェアマンを務めるマニーシュ・バンダーリ氏が登壇し、セナ・システムズの概要の説明を行なった。

日本オラクル、ID管理ソリューションの 導入支援で米セナ・シス...

米セナ・システムズ創業者、エグゼクティブ・チェアマンのマニーシュ・バンダーリ氏

 セナ・システムズは、アイデンティティ管理およびアクセス管理(IAM)サービスに特化して事業を展開するシステムインテグレータ。本社を米国ニュージャージー州に置くほか、英国とインドに営業所を展開する。創業者を始めとする主要経営陣はシティグループやドイツ銀行といった金融業界の出身者で占められており、金融業界向けのシステム構築に特に強みを持つ。ID管理システムの導入は欧米でまず金融業界から始まったこともあって、金融業界に多くの大規模顧客を擁するという。

 日本オラクルとの協業により、セナ・システムズは、同社が有する「標準化されたテンプレート」や「再利用可能なモジュール」を日本のSIパートナーに提供することで、ID管理システムを低コストで確実に構築するための支援を行なう。また、同社は現在日本国内には拠点を持っていないが、日本語が使えるスタッフ4名がこのプロジェクトを推進しており、今後は状況を見ながらスタッフの増員や日本国内での拠点設置も検討していくとしている。

カテゴリートップへ