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AV評論家・麻倉怜士氏に聞く

「せっかくの人生、悪い音を聴いている暇なんてない」

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趣味をプロデュースすることで楽しみが広がる


麻倉先生のお部屋

約30畳のお部屋には、JBLの大型スピーカー『ProjectトK2 S9800SE』や3管式プロジェクター、150インチのスクリーン、過去に録りだめたテープなどがぎっしりと並ぶ。こういう部屋に足を運ぶと、自然にはしゃいでしまうものです

[遠藤] そろそろまとめに入りたいと思います。お書きになられた新書や、この記事を読む読者に、ひとつアドバイスをいただけないでしょうか? 隠された秘密とか、そういうものがあると面白いんですが(笑)。

[麻倉] この本では書けなかったんですが、マルチチャンネルは非常に楽しいと思います。iPodに関しても意外に音がよくて、いろいろな使いこなしが可能です。圧縮率を低めたり、ヘッドホンを変えるとかいろいろチャレンジして欲しいですね。

[遠藤] 新書の中では、ハイエンドオーディオの世界に関しても触れられていますが、こういった機器の音はどこで聴けますか?

麻倉怜士氏

上がソニーのQUALIA 004、下がBARCOの3管式「CineMAX」

[麻倉] 秋に多く行なわれる、オーディオショーや試聴会に参加するのがいいでしょう。また、敷居が高いかも知れませんが、専門店に足を運んでみるのもいいと思います。いい音の基準を知るためにも、ハイエンドオーディオの音は一度体験して欲しいですね。「いい音って何か」「どんな音が欲しいか」っていうのは、自分でもなかなか分からないじゃないですか。そのためには、いろんな組み合わせで聞いてみたほうがいいと思います。

音には常に二面性があって、ほっそりとした音を「か細い」といえば貧弱に感じるかもしれないけれども「繊細な音」というとよく聞こえますよね。自分にとって、これは貧しいんだろうか? 豊かなんだろうか? それは聴いてみないと分からないですよね。

[遠藤] ワインの味だって、最後は言葉で説明して納得するわけですよね。音の趣味も自分で言語化する変換作業が楽しいっいてう面があるかもしれませんね。そこには限界もあるし、もどかしさもあるんだけど、その作業が面白い。「ギャップを楽しもう」って感じでしょうか。

[麻倉] 自分の趣味をプロデュースするっていうのは面白いですよね。まずは音楽の嗜好を確立させて、その先に自分の好きな音楽がある。その理想に近づくためのオーディオ機器を選ぶっていうのは趣味としても面白いんじゃないですか。そうすることで、ソフトとハードの間の架け橋も自然にできてくると思うんです。

生演奏を聴くとか、演奏してみるとか、ショールームやオーディオショーに足を運ぶとか。体験を増やしていくのもいいと思います。最初から最終的な決断をしようと身構えると、なかなか前に進まないので、とりあえずベーシックな機器を揃えて、聞き込んでみる。それが“オーディオへの冒険の第1歩ですね。



いい音を聴けば社会もよくなる


麻倉怜士氏

iPodだって結構音がよくて、使いこなしができるんですと麻倉先生。ソースの圧縮率を変えたり、いろいろなヘッドホンを試すことで、手軽にオーディオの楽しさが味わえる

[遠藤] 音楽のすごいところは、なかなか表に出てこない感覚や心の中にしまっておいた記憶を「ふわっ」とよみがえらせる力を持っていることです。これって音楽もすごいけど、人間もすごいってことですよね。

[麻倉] そう言う意味では、いい音楽体験をすればするほど、深い人生を送ることができると言えるかもしれませんね。

音は本当にインプレッシブです。人間の感覚は9割が視覚だと言われていますが、それだからこそ、音に対する感度って高いんじゃないかなとも思います。一を聞いて十を知るじゃないですが。音から広がるイマジネーションは広大です。BGMみたいな用途でも、いいスピーカーで聞いているときと、そうでないときには仕事のはかどり具合に差が出ます。いい音は体にしみこんでくる。そう言う意味では、個人としていい音を聴くだけじゃなくて、社会的にいい音を聞くことが大事になるのかもしれません。

[遠藤] 「社会の音がいい音にならないと、いい社会にはならない」とは、画期的な理論ですね!

[麻倉] 僕は常々「せっかくの短い人生、悪い音を聞く暇なんかないよ」と思ってるんですよ。感動には理由がある。理由があれば感動できる。

[遠藤] お言葉いただきました!

麻倉怜士氏

麻倉先生執筆の『やっぱり楽しいオーディオ生活』。アスキー新書から絶賛発売中です! こちらもぜひ読んでください

 日曜の午前中に、ぶしつけに訪問した取材は2時間半という時間があっという間に過ぎるほど充実したものでした。これ以外にも、オーディオの使いこなしやマニアックな楽しみ方に関していろいろとご教授いただきましたが、その多くは新書のほうにも書かれています。こちらも機会があれば、ご紹介したいと思います。

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