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AV評論家・麻倉怜士氏に聞く

「せっかくの人生、悪い音を聴いている暇なんてない」

2007年06月28日 00時00分更新

文● 編集部、聞き手●遠藤諭(アスキー取締役、CCO)

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業界にできたギャップをどう埋めていくか


[遠藤] 昔は女の子をナンパするにも、コンサートに誘うのが定番だった。僕ぐらいの世代が20代のころって、趣味のなかに音楽が占める割合は大きかったし、音で感動できる環境がそろっていた。“「俺の耳欲みたいなものが、もっともっとあったんだよなぁ」って思い出しました。四畳半なのに“DIATONEの3ウェイスピーカー”とかを買ったりしてね(笑)。でも、引っ越しやら何やらで結局捨てちゃった。悲しいことに、いまじゃCDはヘッドホンで聞けばいいやって感じです。

[麻倉] オーディオ産業は、ここ10年ぐらい不況が続いていて、マニアしか相手にしなくなってしまいました。初心者向けの製品もあるけれど、シャリシャリスカスカした感じの、音にそんなにこだわっていない製品ばかりです。

退職してお金や暇はできたけど、そういうギャップってどうやったら埋められるんだろう? 芯のある自然な音はどうやったらゲットできるんだろう? ところが、そういうアドバイスはないんですよね。専門誌じゃレベルが高すぎるし、専門店には入りづらい。逆に量販店では店員の知識がない。どこにいっても充足されない状況があるんです。

麻倉怜士インタビュー

[遠藤] キャッチアップできないんですよね。

[麻倉] 読者から寄せられた感想のひとつに、面白いものがあったんですよ。初心者の方だったんですが、音楽を聴くために何をしなければいけないかという基本的なところが分かったと言うんですね。つまり、スピーカーとアンプとCDプレーヤーが必要だってことを知らない人がいるわけ。例えば、ラジカセみたいなものだと、1台で済んでしまうでしょ。

[遠藤] 確かにブラックボックス化が進んで、そんなことすら意識しなくていい状況が生まれてしまっていますね。

[麻倉] 音楽を楽しむにはラジカセでも、iPodでも、ミニコンでもいいでしょう。でもいずれにしても要素は3つですよ。プレーヤーというソース機と、その信号を増幅するアンプ機、それを空気の振動に変えて音を出すスピーカーの3つが必要ですよ、と。これを読んで「目からうろこが落ちた気分になった」と言ってくれた人がいましたね。

業界はそういう当たり前のことが改めて書かれていて良かったと言っていました。すごくベーシックなことなんだけど、当たり前すぎてオーディオの入門書にも書かれていないようなことです。

LHH2000
麻倉先生が所有する機材のひとつ『LHH2000』。オランダのフィリップスが世に送り出した記念すべき業務用CDプレーヤーの第1号機。「深遠なる、そして圧倒的に雄大な低音は今でもこのプレーヤーでしか出せない」という
LHH2000
部屋には大きな真空管アンプも

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